「今日からまた来年のフジロックが始まってんだぜ」 苗場旅館組合インタビュー!

naeba.JPG

 今年も7月の14日から16日にかけて、第19回ボードウォークが苗場で開催されました(当日の模様はこちら)。台風の影響で2日目の作業が中止となったものの、オルグスタッフも作業に参加することができました。ボードウォークが開催されている間、現場で「いらっしゃい! お昼食べてって!」と笑顔で参加者に声をかけて下さっていたのが、地元苗場の旅館組合のお二人。苗場で開催されて今年で9年目になるフジロックについて、オルグスタッフがお二人にお話をうかがって来ました。


――フジロックが苗場で開催されるようになって今年で9年目になりますが、振り返ってみていかがですか? 


苗場旅館組合(以下:苗):じつはこの間、とある取材を受けて「フジロック開催に関して、なにか問題や困ったことはありますか?」って聞かれたんです。きっとフジロックが地元住民に迷惑をかけているだろうと思っているんですね。だから「儲かりすぎて困るくらいだよ」って言ってやりましたよ(笑)。
 たとえばごみの問題に関して開催直後にオルグさんの方でも記事が出ていたけど、会場内で僕らが目にする範囲では、少なくともごみの処理はきちんとされていましたから。
 さっきの取材の話ではないけど、大人がそういった色目で見るよりも、実際に会場に来ているお客さんは純粋ですよ。音楽を聴くこと以外も含めてね。


 旅館のことに関して言えば、「旅館に泊まりたい」というお客さんからの電話は(前年の)12月から猛烈に来ます。すごいですよ。12月のあたまくらいにお客さんからの電話で「予約したいんですけど」って言われて「いつですか?」ってきいたら「来年の7月の終わり」っていう。まだ正月も来てないのに。でもお客さんの心理としてはそうだと思います。ところが旅館側ではやはり、冬には冬のイベントに対しての仕事がいくつもあるわけで、冬場のお客さんの問い合わせを待っているんです。でもその何倍もの電話がそれでかかってくるんです。
 大げさじゃなく、年間の旅館の予約電話の約7割がフジロック関連です。だからそこが難しいところではありますね。


 旅館側も営業努力は必要だと思います。俺たちはそれが仕事なんですから。お客さんのことを振り返ってみたときに、ここぞとばかりにフジロックを利用して俺たちも儲けちゃおうって考えはおかしいと思う。お客さんを泊めて満足してもらって、楽しかったぜって言って帰ってもらうのが、俺たちの仕事なんですよ。苗場っていい所だったねって言ってもらえて、初めて俺らの仕事は成り立つわけだから。
 去年お客さんと帰りに話をしていたとき、「ありがとうございました」とか言われるから、ありがとうのお礼は俺らが言うべき言葉だから、お客さんはもっとお客なんだぞって顔をしていた方がいいですよって言ったの。そうじゃないから旅館側がみんな勘違いして、バランスが崩れちゃうんだと思いますね。

――フジロックではお店とお客さんとしての関係だけでなく、人としての繋がりもできますね。

苗:俺、フジロック大好きですよ。フジロックの開催期間中、苗場食堂で仕事しながらも、本当にこれでお客さんをおもてなしできているんだろうかと反省しつつも、やっていて楽しい。終わったときの達成感といったらないです。

 苗場食堂も含めて、この地域でフジロックの3日間が終わる日に、お客さんを送り出してから後片付けをしているときに、「ああ、さみしい」って思えるスタッフが何人いるかだと思いますよ。俺たち2人、苗場食堂の片付けが終わってから必ず言うセリフがあるんですよ。「今日からまた来年のフジロックが始まってんだぜ」って。365日フジロックなんですよ。お金の問題じゃない。正直、家にいないってことですでに商売じゃないから(笑)。母ちゃんにムッとされてさあー(笑)。
 「馬鹿オヤジが帰って来ないけど、どうなってるのか」って代わりに周りのスタッフが携帯電話で怒られるんですよ(笑)。で、「馬鹿オヤジにちょっと今、運び物してもらってて……」とか答えて(笑)。

 嬉しいのは、今日もこうやってボードウォークに参加してくれる人たちがいるわけですよ。それがやっぱり嬉しいから、続けていきたいというのはありますね。作業の効率を考えて地元の人間ばかりが先頭に立つというだけじゃなくて、できるだけ来てくれた人たちに作業に参加してもらおうと考えています。
 ボードウォーク自体がお宝なんだけど、ボードウォークを取り巻く、参加してくれる人たちみんなが、超お宝ですよ。たとえ釘一本打てなかったとしても、来てくれたこと自体で超お宝ですよね。だってそういう人たちがいなかったらできないんだもん。ボードウォークって生き物だと思うんだけど、あの生き物を生かしていくのも殺していくのも、参加してくれる人たちがいてくれるということが大事で。

 今日(15日)は作業が中止になってしまったけど、本当は今日もやりたい。行程のとおりにやりたいから。でも今日はあえてお休みの日にして参加しに来てくれた人たちにのんびり楽しんでもらったり。作業以外にもいろいろと楽しんでもらいたいと思う理由は、参加してくれる人たちがもしいなくなってしまったとしたら、ボードウォークはないから。フジロックに来るお客さんがすべて出演アーティストに対するファンだけだったら、僕らの楽しみも半減すると思うんですよ。


――地元として、今後のお客さんへの要望などはありますか? 


苗:フジロックの規模が大きくなってきているでしょう。苗場の旅館に宿泊しに来て下さるのももちろんですが、キャンプを楽しむこともおすすめします。好きな時間に帰って、しかも会場から一番近い。ただ、キャンプが初めての状態でフジロックにいきなり来るよりは、ぜひ予行演習として、一回苗場に遊びに来て欲しいですね。きっとフジロックの楽しみ方が、もっと広がると思いますよ。


Interviewed by org-hanasan,riko,komo,funa,jet-girl
photo by org-funa