【VINA ROCK FESTIVALレポート】ラテンの巻き舌言葉と反体制が渦巻くフェス!
音世界の主導権を握っているのはどこの国? と言ったら、もちろんイギリスとアメリカだ。しかし、音楽に敏感であるはずの英米メディアが、未だかつて取り上げたことのない超巨大フェスティバルがスペインには存在する。ラテンの巻き舌で民意を声高に叫ぶバンドがこぞって出演するフェス、それがヴィナ・ロック・フェスティバル。まくしたてられる主張は5万ともいわれるオーディエンスにぶつかり、返す刀は突き上げられる無数の拳。ぬるま湯のような日本で育ったアタシにゃ、そらもう衝撃的な光景の数々でしたよ!

orgを見てくれている人の中には、フジロックの前夜祭あるいはクロージングで聞き慣れないバンドをたまたま見てしまい、圧倒的迫力に呑まれて言葉の一つも解らないまま最後まで踊り狂ってた、なんて人もいるはずだ。今年のヴィナ・ロック・フェスティバルには、どえらい騒ぎを起こしたそいつらが、まとめて出演していたのだ。1日目(4/27)に登場したマヌ・チャオ・レディオ・ベンバ・サウンド・システムは02年の前夜祭で、最終日の3日目(4/29)に登場したトドス・トゥス・ムゥエルトスとフェルミン・ムグルザはそれぞれ99年と04年のクロージング。これらを体験した人ならば、頭ではなく体の記憶としてその衝撃が刻み込まれているはずだが、どうだろうか。兎に角、突然出てきてかっさらう、そんなバンド達ばかりが次から次へと現れるからたまらない。

出演バンドの傾向を簡単に説明すると、パンクやハードコア、ヒップホップなど反逆から生まれたサウンドをベースに、出身地の伝統やカリブの色、そして遊び心をつけていく感じ。そこへ労働者の言葉や独立の願い、紛争への憤り、貧困を嘆く声、はたまた反グローバリズムの名のもとに地方独自の文化を潰す巨大資本(世界中どこへ行っても同じ顔をしているマ○ドナルドとか)を非難したり、国のトップに君臨するお子ちゃま達をクソミソに叩きのめす歌詞がのせられる、といったところだ。そんな歌詞にオーディエンスは敏感に反応し、必死になって労働者と農民の旗(旧ソビエト連邦の旗)を振ったり、拳を突き上げて叫び返したりする。おまけに彼らが尊敬する人物は、キューバ革命の英雄チェ・ゲバラときてる。英米のメディアにとっては目を覆いたくなるような、まことにゆゆしき事態だというのもビシビシ感じる。ただの一歩でもそこへ足を踏み入れれば、いやがおうにも政治や社会に対して目を向けるようになってしまう。ガラリと世界が変わってしまうのだ。
フジのようにステージ同士を導線で繋ぐのとは違い、こちらはでっかいスペースがひとつあり、その中に4つのステージと様々なブースが散りばめられている。MATARILEとREPUBLICCAというグリーン級のステージが2つ並んでいて、ライブとセットチェンジが同時に進行し、絶え間なく爆音が流れ続ける。すこし離れたところにホワイト級の規模をもったNEW ROCKがあり、今年なんてソウルフライが出ていたりするから、あなどれないステージである。そしてラップグループが声をあげるSENNHEISERがあるのだが、ここは晩から朝まで各DJが爆音を繋ぎ続けるという珍しいステージ。フジ深夜の大騒ぎが大好きです、そんな人にオススメだ。

小さなオフィシャル・ショップの脇にはレッド・マーキーほどのテントがあり、その中にはブートのグッズがわんさか売られているし、煙をもうもうと立ちのぼらせて仮設の屋台どころの騒ぎではない豪勢な飯屋があったりで、スケールがとにかくデカい。っと、足元をさらさら流れる液体には気をつけて。そのほとんどが雨でも酒でもなく、一般のスペースとバックステージを隔てる網に向けて飛ばされたお小水の成れの果て。トイレに行くのが勿体ない、ってのはわからんでもないが……ちょっとね。全てにただただ驚くばかりです。
売れている/いないに関わらず、虐げられている者の叫びを取り上げるのが「ヴィナ・ロック・フェスティバル」。かなり過酷な環境だけれど一見の価値あり! どうです、来年一緒に行きませんか?
VINA ROCK FESTIVAL HP:http://www.vinarock.com/
(なお、ライブ写真は過去のfujirock expressより)
Text by org-taiki
Photos by org-ikesan, org-nachi and org-taiki













