南兵衛@鈴木幸一さんインタビュー
『フェスティバル・ライフ』の著者、南兵衛@鈴木幸一さんインタビュー:前編
【今年初めてヘッドライナーを観た】
――お客さんとしてフェスを楽しみたいなぁと思うときはありますか?
南兵衛:あるよ。たまにだけど、ほぼお客さんとして行くフェスが年に1~2回だけど、しみじみ楽しいね。夢はいつかフジロックにお客さんとして行くことだもん(笑)。去年までは、フジのヘッドライナーを生で観たことなかった。ヘッドライナーの時間帯はアヴァロンが閑散とするから、一人いてちゃんと留守番していればいい。僕はアヴァロンのリーダーだから、ヘッドライナーのときには「みんな行ってこいよ」ってなる。
今年は、レッド・ホット・チリペッパーズのとき、鼓童のメンバーを案内していて、メンバーが「観たい、観たい」って、どんどん行っちゃうから、人込みの中で怪我も心配だから付いていっているうちに、いつの間にかPAブースの横にいた。お客さんの多さに驚いたね。「俺たちこんなこと毎年やってるのか!」って(笑)。すごいね。いやぁ改めて感動しました(笑)。天神山のレッチリのときモッシュで霧が発生したのを写真でしか知らなかったけど、また起こっていて感動したね。毎年あれぐらいのことある?
――今まで観たなかで一番印象的だったのは?
南兵衛:本の中のUAさんとの対談にあるけど、PHISH(99年)はやっぱり最高だったね。PHISHは絶対どこかで復活すると思っているけど、今回レッチリ観ながら思ったのは、これをPHISHで観たいな、いつかそういうときがきたらいいなぁ、そのときは泣いちゃうんじゃないかな。

【フジで得られたことが後に大きな意味を持つ】
99年は怖かったよね。自分は野外経験がそれなりにあるから、悪天候が続いたときに2日はごまかせるけど、3日はごまかせないというのを身に沁みて分かっていたので、こんな人数で、もし3日間悪天候になったら、その時点で日本のフェスは終わったと思う。でも幸いに天候に恵まれて、2003年ぐらいから当たり前に雨が降るようになって段階的にみんなを鍛えたっていう、偶然かも知れないけど、天の計らいだった。
お客さんは、時間さえあれば成長するもんだと思う。見事に成長したね。それは単純にフェスティバルだけじゃなくて、日本の若者のバイタリティというのが、5年後、10年後にすごい意味を持っていくことになると思う。本でも言ってるけど、2001~2002年くらいが日本での初期におけるフェスのピークだったと思うね
――フェスの理念や価値観は浸透したと思いますか?
難しいんじゃないかな。僕はリアリストでもあるので、100言ったら、5ぐらいしか残らないというのも現実だからね。でも、5残ることがすごく大事だと思ってるんだけど。90年前後にフェスとも言えないフェスが日本であって、有名なのはボ・ガンボスくらいしか出てなかったけど、そのころは、どんなに集まっても3000人ぐらいだったんだよ。3000人の5%は150人だけど、3万人の5%は1500人だから桁が違うわけ。
その大きさは自分の理想にとって実感できるところまで来てないけど、これから3~5年ぐらいがすごく面白くて豊かな時期になりそうな予感がしている。これから、学生時代にフジやレイヴで遊んでいてバイタリティを身につけた世代が30代になったら、それまでの30代より、自由なところで何かできる世代になっている。例えば、20代はフジで遊んで、その後淡々と市役所で仕事していたような子が、30過ぎてある程度力を持って市の公共事業を考えるときに、中には野外ステージ作ろうかとか、あの広場ならちょっとしたフェスができるから誘致しようという人も出てくるかも知れない。
前編終わり。よりディープな話の後編をお楽しみに!
Text by org-nob, photo by keco&q-ta
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