バリアフリーマニュアル
【1章 ?メッセージ?】

 今年のフジロック、オフィシャル・サイトに掲載されていたメッセージは厳しいですね!
以下、メッセージの抜粋です。
>>以下に該当する方はチケットを買わないでください。
・ 座右の銘は「旅の恥はかき捨て」というかた。
・ 自然や山の神様をなめている方。…etc
 そして、最後に、
・ 来場者にはいかなる状況でも、きちんと頭で考え、それを実現することができる力が求められています。
「自分のことは自分で!」それが、富士ロック。<<

 しかし、「自分のことを自分で」やりたくてもできない人がいるのです…。たとえ座右の銘が「来た時よりも美しく」であって、山の神様には毎日欠かさず”生け贄”を捧げていて、音楽が大好きでも、「自分のことが自分でできない人」は富士ロックのチケットを買ってはいけないのでしょうか?

 昨年、Voice_BBSにこんなメッセージが届きました。
>>僕の友達は車いすを利用していて、両手にも麻痺があります。ボードウォークなどもあり、フジに行きやすくなっていることを知り大喜びでした。しかし、彼らの中にはトイレにしろ、食事にしろ介助が必要なかたもいます。「フジロックには障害者等の人のためのチケットはないのですか?」と電話でホットスタッフに確認したところ、「障害者用のチケットなど一切なく、介助のかたも同様に一枚分のチケットが必要」との答えをいただきました。そのことを友達に伝えたところ、ほんと行きたいけれど、そこまでの予算は無いとのことです。もちろん、今年も行くことをあきらめています。何かもしできれば、障害のあるかたのチケット等の配慮などこれからしてもらえればと思います。彼らも普通に青空の下でビールを飲みながらロックを聴きたい(したい!)と思います。<<

 現在フジロックでは、小学生以下のこどもの入場に関しては、保護者の同伴に限り無料ですが、メールにあるように、障害者介助者向けのチケットはありません。しかし、車いすのフジロッカーズだって会場で見かけますし、障害があるかたでも、工夫次第で楽しむことができるようですよ!

 これから、障害のあるかたが少しでも多くフジロックに足を運んでいただけ、楽しめるように、フジロックのバリアフリー設備を紹介いたします。また、みなさまに現状を少しでも知っていただくことで、障害を持ったかたが「自分のことが自分でできる」ための設備がもっと充実し、みんながハッピーになれるフジロックを目指します!

 個別にご質問等がありましたらぜひメールをください!

【2章 ?会場施設ナビ?】
?トイレについて
 伝説のウッドストックフェスティバルの初回にはトイレが無かったそうですね…。車いすや、杖を使用されているかたが、外出するときに一番気にするのがトイレです。ベビーカーを押す親も、簡易トイレには入りづらく、子供を外に置いたままでは不安で、用も足せませんよね。苗場には2箇所に車いすや、ベビーカーで入れる洋式トイレが設置されていました。(2008年)
洋式トイレ
☆ひとつは入場ゲート入ってすぐ。
オアシスエリアへの橋の手前です。

☆もうひとつは、そこから歩いて40?50分、会場の一番山奥、オレンジコートにあります。
(※ただし、昨年はこのトイレの前に10cm以上の高さのある板が敷いてあり、かなりの段差ができていました。車いすのかたが一人で使用することは不可能に近い状態でしたので、気をつけましょう。)

 つまり、ホワイトステージやフィールドオブへブンには車イスで入れるトイレはありませんので気をつけてください。それらのステージからトイレまでは壮絶な山越えをし、数十分かかることを頭におき、出たくなる前の移動をおすすめいたします。

?山道と移動について
1)各ステージ
 会場である苗場スキー場は山道(砂利&土+傾斜)です。会場内はレッドマーキーテント内、グリーンステージ前方以外は舗装されていません。ステージ内は比較的平らになっておりますので、車いす単独での移動もできなくはありませんが、ステージ間の移動は山越えとなり、車いす単独での移動はほぼ不可能と思われます。

2)ボードウォーク
ボ?ドウォーク 苗場には日本最大級のボードウォーク(以下BW)があります。BWとは、板を重ねて道を作り、車いすでも林の中を移動できるよう作られたバリアフリー設備です。苗場のBWは苗場旅館組合とフジロッカーズの協力により整備されてきました。これにより、険しい山道からの迂回路として、ステージ間を車いすでも比較的容易に移動できます。しかし、実際、BW出入り口が段差になっており、車いす利用者が単独で移動することは厳しいです。また、BW上に柵はなく、夜間や雨天時など誤って転落する危険があるので利用には注意が必要です。

?車いすプライオリティーシートについて
 グリーンステージ中ほどには、車いすでもステージが見えるプライオリティーシートがあります。日除け、雨除けはありませんので、準備が必要です。

プライオリティーテント グリーンステージ後方には、屋根がついて日差しを避けれる、障害者・ベビーカー利用者や、こどもが利用できるプライオリティーテントがあります。このテントにいても十分に音は聞こえますし、グリーンステージのモニターは見えます。

 そのほかのステージにつきましては、特に車いす用のシートはありません。しかし、ステージ後方にいればステージ上がまったく見えないということも無いので、十分に楽しめます。ただし、レッドマーキーだけは混み合うとステージはまったく見えなくなりますのでご注意ください。

?交通アクセスについて
 車いす利用者は混み合っているシャトルバスに乗ることは困難です。そのため、場内に身体障害者専用駐車場が設置されています。
一般と同じ駐車料金を払い、事前に予約をしておけば駐車場が利用できます。
事前予約の電話番号は:03-5720-9999(平日16:00〜19:00)
受付期間:7月17日(金)

?宿泊について
 完全バリアフリー対応の宿はなさそうですが、車いすでも利用できるホテルはあります。
・苗場プリンスホテル
・ホテル エフ(入口が斜面で段差はありません。1階には身障者用トイレや、車いすで入れる洋室があります。)
・御宿 本陣(出入り口は段差になっているが、従業員が運んでくれました。車イスで入れるスペースのツインルームがあります。)
 その他にもあるかも知れませんが、現在調査中です。もし、ここは利用できますといった情報がありましたら教えてください!

?食事について
 会場内には数多くの屋台があります。オアシスエリア・オレンジコートにはイスやテーブルが設置されていますが、その他のエリアにはテーブルは期待しないでください。

【3章 ?Beautiful?】

 最後に、私も車いすを利用しており、手にもマヒがあります。苗場では、ひとりでトイレにも移動できないことも多くあります。お手伝いをしてくれる方もたくさんいますが、「フジロックには参加しないほうがいいのかな」と思ったりします。しかし、私は苗場のフジロックが大好きです。

beautiful 車いすで会場にいると、よく声をかけられます。そのなかで、私には忘れられない一言があります。

 自称、元Cooper Temple Clauseのメンバーという外人が、車いすで踊る私の姿を見て言いました。
「You are so Beautiful!(かっこいいじゃん!)」

 障害があったり、ベビーカーを押している”Beautiful”なフジロッカーズのみなさま、不便点や工夫している裏技などございましたらぜひ教えてください! 今後、紹介させていただきます。みんなの力でさらに楽しいフジロックにしていきましょう!

※今回紹介した情報は2008年までのフジロックのものです。2009年は変更がある場合がございますことをご了承ください。

Text and Photos by org-IB