
photo by org-izumikuma
フジロッカーズのみなさん、こんにちは。早いもので、テンパったリアムが「11月に会おうぜ!」と言い間違えてから約1ヶ月が経ちました。列島熱狂のオアシス来日公演、素晴らしかったですね。“オアシス祭り”の熱はいまだ冷めやらず、桜の葉陰にぶっとい毛虫を見つけるたびに、ルパンのようなモミアゲを思い出してしまいます。
……なーんて、毛虫を見て恋しがっている場合ではありません。3ヶ月後には、また彼らが日本にやって来るんですから! そう、今年の夏は、オアシスが8年ぶりにフジロックに戻ってきますよ。ヤッター!! “オアシス祭り”は夏まで続行! 脳内に祭り囃子を響かせながら、オアシスの良心、だけどちょっぴり毒舌なゲムとアンディのインタビューをお楽しみください。
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―― 今日(3月30日)の午前0時に、オアシスのフジロック出演が発表されたばかりなんですよ。
アンディ: ああ良かった、正しい情報で。本当、リアムの言い間違いにはびっくりしたよね。オーディエンスも混乱しただろうけど、僕たちも「アレはなんだったんだ?」と思ったよ。
―― ちゃんと7月に来てくださいね(笑)。さて、オアシスは2001年にフジロックに出演しました。何か印象に残っていることはありますか?
ゲム: そうだな……たぶん、フジロックに出る前(の日本公演?2人がオアシスに加入後)は、椅子席の会場でしかプレイしたことがなかったと思うんだ。それに比べると、フジロックはオーディエンスが互いにぶつかり合って、とてもエキサイティングだった。「あ、みんな正しい動きになってくれたな」と感じたよ。
アンディ: うん、素晴らしかったね。「オアシスは日本のフェスティヴァルの楽しみ方を変えた」と自負しているよ。あと、気温が暖かくて蚊がいっぱいいたことも覚えているなあ(笑)。とにかくファンタスティックだったよ。
ゲム: 他のアーティストにも会えたしね。ステレオフォニックスやトラヴィスもいただろ? 彼らは仲の良い友だちなんだ。あ、もうひとつ思い出した! フジロックのスタッフが着ているパーカーあるでしょ、「Fuji Rock Head Quarters」って書いてあるやつ。あれが欲しくて、「ちょうだい」って頼んで、もらったんだ。嬉しかったな。
―― 会場内を見てまわる時間はありましたか?
ゲム: いや、どうだったかなあ。あまり覚えていないんだ。
アンディ: とにかくスケジュールがタイトだったし、時差ボケもあったからね。空港から長時間車に揺られて、会場に着いて、そのままプレイした、って感じだったよ。
ゲム: フェスティヴァルでプレイすることはもちろん楽しいけど、僕たちにとっては仕事でもあるからね。出番までウロウロせずに待機していなければならなかったりするんだよ。
アンディ: そうだね。だから、残念だけど何も見られなかったよ。
―― あらら。フジロックには「アーティスト・ホスピタリティ・エリア」と呼ばれる場所があって、いろいろなアーティストが行き来して、交流しているんですよ。
ゲム: そんな場所があるなんて、誰も教えてくれなかったよ!
アンディ: 全然知らなかったな。じゃあ、今年はぜひそこに行って、アーティストたちに挨拶をしなくちゃね。
―― ぜひぜひ(笑)。これまでたくさんのフェスティヴァルに出演してきたと思いますが、日本のサマー・ソニックや他国のフェスティヴァルと、フジロックの違いは感じましたか?
アンディ: サマー・ソニックは都市型フェスティヴァルだよね。フジロックはもっとリアルなフェスティヴァルというか、ヨーロッパの伝統的なフェスティヴァルであるグラストンバリーやロスキルドに近い感じかな。
ゲム: 一番大きな違いは、「会場」だよね。アンディが言ったのも同じことだと思うよ。ほら、サマー・ソニックは野球場でやるだろ? 「フェスティヴァルなのに何か違うな」って気分になるんだ。自分たちの後ろに山が連なっているのか、それとも壁なのか、っていう違い。
アンディ: そうだね。サマー・ソニックは、僕たちが英国でやる大規模ギグとあまり変わらないというか、ちょっと閉鎖的な感覚だったね。
ゲム: 英国に野球場はないけど、「ピッチに大勢の人がいる」という点では一緒だろ(笑)。
―― デビュー前に、お客さんとしてフェスティヴァルに行ったことはありますか?

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ゲム: うん、何度もね
アンディ: 僕は、1988年の夏にフェスティヴァルに行った直後に、バンド(ライド)を始めたんだよ。あの時フェスティヴァルに行ったからこそ、「よし、バンドをやるぞ!」っていう気分になったのさ!
―― うわー、そうなんだー(感動)。
アンディ: お客さんで行っていた頃は、ラインナップやスケジュールがすごく気になったね。だって、18〜19歳の少年にとって、フェスティヴァルの高いチケット代を払うのは大変なことでしょ? タイム・テーブルとにらめっこして、真剣に計画を立てたよ。「何時からはこのステージでウェザー・プロフェッツを見よう。でもメイン・ステージのマイ・ブラッディ・ヴァレンタインも見たいから、終わったらすぐにダッシュだな」とかさ。自分が一所懸命プレイを聴いている横で他の人がおしゃべりしていたら、「もう、黙ってくれよ!」なんて思ったりしてね(笑)。
ゲム: フェスティヴァルのお客さんは自由だよね。見ているバンドが気に入らなければ、その場を離れてごはんを買いに行ったりしてもいいわけだし。それに、見るアーティストによって、お客さんのタイプも全然違う。去年、僕とアンディはニール・ヤングを見に行ったんだけど、「決しておしゃべりしてはいけません」みたいな雰囲気でさ(笑)。隅の方が小さいキャンプサイトみたいになっていて、毛布にくるまってジーッと聴き入っている人たちがいたよ。本当、フェスティヴァルにはいろいろな人がいるよね。
―― フェスティヴァルでキャンプしたこともあるのかしら?
ゲム&アンディ: あるある!
アンディ: 17歳の時にガールフレンドとグラストンバリーに行ってキャンプしたよ。1987年のことで、ニュー・オーダーを見たな。1988年のレディング・フェスティヴァルでもキャンプしたよ。
ゲム: 僕は、テントが倒れて顔に当たってから、キャンプをやめたんだ(笑)。テントを立てる時って、ストリング(ひも)で固定するでしょ? 夜中に寝ていると、キャンプサイトを通る人たちがアレに引っかかっちゃ、「おっとぉ」とか「クソッ」とか声をあげてさ、挙げ句にテントが潰されちゃったんだ(爆笑)! あれは悲惨だった。もうキャンプはコリゴリだよ。
アンディ: 友だち数人とキャンプしたことがあるんだけど、その時は……ふふ、自分たちのテントが見つけられなかった。
―― えっ、目印つけなかったの?
アンディ: つけたけどさ、みんな同じようなテントに同じような目印をつけるから、意味ないんだよ。
ゲム: 「おい、どういうことだ? なんだかここには似たようなテントばかり並んでいるぞ!?」ってね。
アンディ: そうそう。緑のテントを探していたんだけど、みんなが緑のテントに黒のゴミ袋を縛りつけているからさ。「これじゃあ、どれが誰のテントかなんてわかるわけないよー!」って言いながら、キャンプサイトを歩きまわったんだ。
ゲム: 「うっ、こんなにくさいテントは僕たちのじゃないな。さあ、他を探そう!」って感じでね。で、もうキャンプはやめたってわけ(笑)。
―― 出演するフェスティヴァルに、長く滞在することはありますか?
アンディ: うん、時々ね。友だちのバンドが、僕たちがプレイする前日や翌日に出演する時なんかは、しばらく滞在したりするよ。グラストンバリーの時も、ポール・ウェラーか誰かが出ていて、ずっといたんじゃなかったかな。
ゲム: 今年出演するスペインのベニカッシムには、たぶん滞在するね。ポール・ウェラーが僕たちの翌日にプレイするから、そのまま残って彼のライブを見ると思うよ。

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―― でもキャンプは…
ゲム: しない(キッパリ)!!
―― オアシスのようなビッグバンドでも、フェスティヴァルのヘッドライナーのオファーは興奮しますか?
ゲム: うん。たとえば、僕たちは今年、アイルランドのスレイン城でプレイするんだ。スレイン城では1年に1回しかライブをやらないから、たくさんのバンドがここでプレイしたがっている。ボン・ジョヴィもやりたがっていたけど、最終的にオアシスが選ばれたんだ。すごく嬉しいよ。
アンディ: 実は、僕たちは「どのフェスティヴァルに出演したい」というのは選べないんだ。エージェントが最終的に決めるからね。でも、出演予定のフェスティヴァルのリストを見るのはとても楽しみだよ。ベニカッシムは気に入っているし、フジロックも好きだし、今年はロスキルドにも出る。
ゲム:? Vフェスティヴァルにも出るんだけど、すごくいいフェスティヴァルで、大好きだよ。個人的にはグラストンバリーよりも気に入っている。
アンディ: うんうん。グラストンバリーはオアシス向きのフェスティヴァルじゃないね。もう2度とプレイしないと思うよ。
※オルグ注:オアシスは1995年と2004年にグラストンバリー・フェスティバルに出演。暴動が起きたりライブが不評だったりと、なぜか相性が悪いのです。
ゲム: そう、オアシス向きじゃない。オーディエンスが静か過ぎるんだ。静か過ぎ、小さ過ぎ、ドラッグ多過ぎ。
アンディ: しかも悪いドラッグばかりだから、ボーッとした人が多過ぎ。
―― えーっ、そんなこと言っちゃっていいの?
ゲム: 多くの人は「グラストンバリーが一番良いフェスティヴァルだ」と言うだろうけど……まあ、オアシスには向いていないということだよ。2004年のライブも、プレイ自体は悪くなかったと思うけど、なんとなく出来が良くなかったと感じているし。オーディエンスにとってもそうだったのかもしれない。僕たちの雰囲気と彼らの雰囲気がちょっと違うというか、合わなかったんだろうね。それに比べて、Vフェスティヴァルはオーディエンスの雰囲気がもっと良い感じなんだ。
アンディ: うん、もっとロックな雰囲気だね。レディングもそうだろ?
ゲム: 確かに。レディングもロックなフェスティヴァルで好きだな。
アンディ: 今のグラストンバリーはヒッピーなフェスティヴァルでしょ? だから僕は、お客さんとして行こうとは思うけど、オアシスとしてプレイしようとはもう思わないんだ。
ゲム: そういうこと。僕の友だちで、グラストンバリーに15年も通っていたやつがいるんだけど、もう行っていない。なぜかと言えば、テレビの取材なんかが入るようになって、「プロフェッショナルなヒッピーたちのためのフェスティヴァルをお送りします」っていう感じに変わってしまったからなんだよ。まあ、僕はグラストンバリーではプレイしないで、セーターでも編むよ(笑)。
―― 編み物って……。「たまには小さいステージで弾き語りでもしたいなあ」と思うことはありますか?
ゲム: アコースティック・ライブはたまにやるけどね。いや、正直やってみたいと思うことはあるよ。
アンディ: うん。小さい会場で、熱狂的でない雰囲気で。
ゲム: 思ってはいても、なかなかね……僕とアンディでそのうちに(微笑)。
―― フジロックには小さいステージもありますので、どうぞよろしく。いつか実現できたら素敵ですね! さて、フジロックは今年で13年目を迎え、ファミリーで参加するお客さんもずいぶん増えてきました。あなたたちもお子さんを連れてフェスティヴァルに行ったりしますか?
ゲム: 僕の奥さんは、前回のフジロックの時、一緒に来たよ!
アンディ: 僕は何度か、英国内のフェスティヴァルに家族と行ったな。
ゲム: 2004年のグラストンバリーにも家族が来ていたんだけど、うちの子たちときたら、キングス・オブ・レオンのステージの上で眠っちゃってさ(笑)。
アンディ: それって、僕たちがローリング・ストーンズのステージで寝ちゃうようなもんだよね(笑)。
ゲム: そうだね。うちの子たちは、すでにフェスティヴァル経験有りってことだな。
アンディ: ゲムの子供たちはフェスティヴァルによく来ていて、ステージ上やバック・ステージ、ケータリングなんかをしょっちゅうウロウロしていたよ。
ゲム: 彼らは別にショウビズ・キッズじゃないよ。これは悪い意味じゃなくて、「かつてのフェスティヴァルはそれくらいゆるい環境だった」ということだね。
―― ファミリーでフェスティヴァルを上手に楽しむコツを教えてください。

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ゲム: お母さんたちは、ストレスを溜めないこと。お父さんたちは、飲みすぎないこと。
アンディ: 子どもたちは、失敗をおそれず何でも経験してみること。
ゲム: うん、そうやって成長しろってことだね。
―― フジロックには、「ルーキー・ア・ゴーゴー」という新人用ステージがあります。ルーキーたちに向けて、先輩からアドヴァイスをもらえますか?
アンディ: いや、アドヴァイスをする資格なんてないからなあ。アドヴァイスなんて聞き入れたことないし……。
ゲム: そうだ、それだ!
ゲム&アンディ: 人のアドヴァイスなんて聞くな(笑)!
アンディ: ステージに立ってプレイできれば、それで充分だよ。
ゲム: そう、あとは楽しむだけさ!
―― 最後に、フジロッカーズへのメッセージをお願いします。
アンディ: ハーイ、オアシスのアンディ・ベルです。フジロッカーズのみんな、夏にまた会えるのを楽しみにしているよ!
ゲム: ハロー、ゲムだよ。とにかく盛り上がって盛大にやろうぜ。スペシャルなライブにして、フジロックの歴史を塗り替えよう。そして、みんなに「自分もその特別な場所にいたんだ!」って自慢しようぜ!!
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ギャーッ、なんとかっこいいメッセージであることか! いやはや、インタビュー中は、ゲムとアンディの男気にしびれっぱなしでした。オアシスにおける“兄貴”って、ノエルだけじゃないんですね。歴史の証人になる決意を胸に、兄貴たちの再来を楽しみに待ちましょう! 以下、録音を止めた後のエピソードを少々。
fujirockers.orgの資料に、トラヴィスの姿を見つけたふたり。ポーズを決める友だちを見てライバル心が芽生えたのか、オルグタオルを手にあーだこーだと試行錯誤。結局、ゲムはちょっとすまし顔でギャルソン風に決定。アンディはタオルに書かれたメッセージをいたく気に入り、「“ピース、ラブ、ユニティ”を見せなきゃ!」とタオルを折りたたんでくれました。その出来映えは、この記事の冒頭にある写真でご確認ください。
ちょうど第2弾が発表されたばかりということもあり、ゲムとアンディはフジロックのラインナップにも興味津々。「アニマル・コレクティブだ!」「おっ、パブリック・エナミー!」「キラーズも出るのか」「ツイステッド・ホイールは一緒にやったことがあるよ」「シミアン・モバイル・ディスコもいる!」と大騒ぎ。ちなみにふたりがもっとも目を輝かせた名前は……ウィーザーでした。
立ち居振る舞いがかっこいいだけでなく、トークも冴え渡っているふたり。インタビュー中はもちろん、雑談でも楽しませてくれました。『ミュージック・ステーション』に出た時の話。「ファンタスティックな体験だったよ。『28日後…』っていう映画(ダニー・ボイル監督。怒りを促進するウィルスが蔓延し、感染者が人々を襲うホラー・ムービー)見たことある? テレビ局のフロアに集まったお客さんたちがウワーッと押し寄せてきた時、アレを思い出しちゃってさ(笑)。もちろんいい意味でね」だって。
そして、インタビューを終えたゲムとアンディは、「それじゃ、11月にね〜!」と手を振り、颯爽と去っていきました。だから、それはリアムの言い間違いだってば。
interviewed by org-izumikuma, org-satori
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special thanks to Mitch Ikeda
3月の来日レポが見られます:
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