これは昨年のフジロック・エキスプレスのために撮影された前夜祭の写真。1年ぶりに苗場に戻ってきたみなさんの、はち切れんばかりの笑顔が素晴らしく、毎年ここでこの瞬間を撮影するのが恒例となっているんですが、この直前だったか、DJマメヅカが忌野清志郎の曲をセレクトしたのを覚えている人もいるかもしれません。あのときも涙を流している人がたくさんいたし、彼の訃報にも多くの人が涙を流したのではないかと思います。改めて、ご冥福を祈ります。
既報の通り、彼の告別式は9日、都内港区青山葬儀所。多くのファンのみならず、おそらく、数多くのフジロッカーも弔問に訪れると想像されますが、それを受けて弔問の受付時間が3時間延長されたとのことです。
でも、悲しみに暮れて涙を流すことを彼が望んでいるようには思えないのです。それより、多くを与えてくれた彼の人生を祝福し、感謝したいとも思います。それに、これまでも、今も、そして、これからも鳴り響き続けるのは彼の音楽。すでにこの世を離れたジョー・ストラマーと同じく、忌野清志郎も、どこかで僕らと一緒に生きているようにも思えます。言うまでもなく、彼の作ってくれたフジロックのテーマが「田舎へ行こう!」。この祭りやフジロッカーのことを見事に描いているこの曲だけでも、その意味は十分に理解できますし、これまで刻一刻と変化するこの祭りを記録し続けたフジロック・エキスプレスに幾度も彼が姿を見せていることからも想像できるのではないでしょうか。ステージでの演奏ばかりではなく、いろいろな場所に彼がいました。振り返れば、苗場食堂に座敷が作られ、ここがステージになるきっかけを作ったのも忌野清志郎でした。膨大な記録から探し出せば、その時の話しもチェックできます。まだまだ不十分ではあっても、いろいろなメディアに取り上げられるライヴだけではなく、会場の至る所で生まれるドラマや奇蹟を追いかけ続けるフジロック・エキスプレスならではの記事ではないかと思いますが、今年も、すでにその準備段階に入っています。
そのスタッフを募集します。すでにご存知の方もいらっしゃると思いますが、基本的には多くのボランティアが中心ではありますが、仕事を断って加わってくれているプロの写真家やイラストレーターも参加してくれています。が、まだまだカバーしなければならないことも多く、よりクオリティの高いエキスプレスにしたいと思っています。そんなところから、今年はエキスプレスのスタッフをここで募集することとなりました。
仕事はライヴのレポートみならず、お客さんや会場で働く人々、ミュージシャンへのインタヴューもできるライターやイラストレーターに写真家が中心です。オンタイムで更新作業をするということで、当然ながら、現場にいながら速効で原稿を書いたり、あるいは、写真をセレクトして加工する作業も必要ですし、イラストでものんびりと書いている時間はありません。加えて、コンピュータでの処理に関してもスピーディにできなければ仕事になりません。もちろん、さまざまな外国語に堪能であれば、それに越したことはありませんし、そういったスタッフも必要です。と、かなりハードな仕事なんですが、そういった才能を持ち、やる気のある人がいたら、あなたもエキスプレス作りに加わりませんか?
拘束されるのは前夜祭から月曜日まで。原則としてノーギャラです。しかも、フェスティヴァルの期間中に関して言えば、睡眠時間は極端に少なくなります。のんびりとライヴを見ている暇はないと思ってください。ですから、「ライヴをただで見られる」とか、「チケット代が浮く」といった発想は一切通じないと思ってください。そういった方は最初からお断りします。加えて、エキスプレスのみならず、日常の活動にも加わっていただきます。
と、なにやら厳しいことばかりに思えますが、くたくたになって、へとへとになっても、会場で出会う人々やスマイル、音楽、自然が混ざり合ったところで生まれるエネルギーを真正面から受け取ることができます。それに、どこのメディアにもカバーできないフェスティヴァルの津々浦々をとらえながらも、オンタイムで作られるエキスプレスそのものの魅力にはとてつもなく大きいものがあります。また、自分自身がフェスティヴァルの一部ともなるこの仕事を終えたときの充実感も最高。なによりも心からフジロック、あるいは、その向こうにある「なにか」に魅せられた仲間やオーディエンスとの繋がりが生まれることは至宝だと思います。
なお、申し込みはこちらのフォームを使用していただきますが、熱烈なPRとやる気を感じさせていただけたらと思います。プロ、アマは問いません。また、それぞれの作品が確認できるサイトなどがありましたら、必ずリンクを加えてください。締め切りは5月17日。申し込みされた方についてこちらで選考した後、可能な限り早い段階でご連絡差し上げます。
text by Koichi “hanasan” Hanafusa