日本が誇るオールキャンプインフェス「朝霧JAM?It’s a beautiful day?」

Posted on December 19, 2008
Filed Under 国内のフェスいろいろ |

 

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今年1年間、全国各地で様々なフェスが開催され、フジロッカーズオルグでも「国内のフェスいろいろ」としてその一部を紹介してきましたが、最後を飾るのはやっぱり朝霧JAM?It’s a beautiful day?(以下、朝霧)。ここ数年は天候に恵まれ、日曜の夜は雨に降られたけれど今回も気持ちよく富士山を眺めることができました。今年もアーティスト発表前にもかかわらず発売と同時に一瞬で売切れてしまった朝霧。一体その魅力は何なのか、オルグスタッフが感じた朝霧の魅力についてお届けします。??

■朝霧JAMの「朝」の魅力

朝霧高原の魅力的な朝の姿は、みんなそれぞれ感じていると思う。夜中遅くまで音楽が止まない他の野外フェスと比べ、朝霧JAMは1日目、夜中23時には最後のアーティストが終了する。この23時に終了というのは、近隣の牧場にいる牛への配慮だそうですが、そういった「この場所での姿」を大切に第一に考えている事もこの朝霧JAMの魅力である。

今回、朝霧JAMの朝の様子を探した。まずテントの朝露で濡れた扉を開けると露が玉になって芝生に落ちる。テントから出ると、朝の寒さで目がシャキっと一気に覚める。水道水もこれまた冷えていてあぁーここは高原なんだなぁと実感する。でも朝日はとても綺麗で、朝霧高原の山や高原の緑に、朝の白い霧がうっすらかかる中、オレンジに染めていた。

radioさらに会場の方へ進むと、そこには各々の朝生活があった。朝ごはんでフードコーナーには玄米たまごかけご飯に早くも列ができていた。ミルクランドのトラックでは朝のラジオ体操後に配る牛乳の搬入、ステージでは1組目のセッティング、奥地の「carnival star」では朝のヨガ教室、ふと見ると富士山がくっきり見える。奥地にこんないいところあったのかと感心しつつ、他のブースも見ていたら、靴ブランドMERRELLではウオークラリーの受付中だった。私は参加することにした。まず会場奥地のテントサイトへ行った。驚いたのはキャンプサイトで朝ごはんを作っている人数の多さ。会場に戻ると、そろそろ恒例のラジオ体操が始まろうとしていた。ぞろぞろと集まる人たち。裏では旗を持った牛乳くばり隊がスタンバイしている。

ほんの数時間の朝の朝霧JAM生活を見て、ここでしかできない事がたくさんあることに気づいた。高原の朝の風を感じながらの食事、朝の富士山、ラジオ体操。音楽フェスというよりもまず自然ありきの構成。人の活動スタートであるとても大切な朝をこんな素晴らしい場所で迎えられるのは最高に幸せなことだ。この朝霧JAMは朝のスタートを気持ちよく切るための条件が揃っている。やはり朝霧JAMの朝は何よりも魅力的です。

 

■景色とそこに集まる人達が生み出す最高の空間
朝霧JAMの後にくる「It’s a beautiful day」について、本当にどんぴしゃな表現だなぁと毎回思う。晴れ渡る青い空の下に一面に広がる緑の芝生、そして色とりどりのテントや旗、そしてその上にくっきりと姿を現す富士山───その光景を目にすることができただけで、あぁ今年も来て良かったなと心から思うことができる。その美しさは、佐藤タイジさんが富士山の絶景を見ながらライブができるレインボーステージで、お客さんより自分の方が絶対楽しんでいる自信があると断言しまうほど。

それでは魅力は景色だけなのかというともちろん違う。今年の朝霧で強く印象に残っているのは、レインボーステージエリアで見かけた2歳くらいの女の子だ。突然、視界に服を着ていない女の子が入ってきたので、一瞬、「え!?」と目を疑ったものの、その開放感がまさに朝霧を象徴しているようでとても微笑ましかった。知らない人と車シェアができたり、長縄跳びを見つけたらとりあえず一緒に飛んでみたり、隣でバーベキューをしている人といきなり普通に話せたり、初めて会う人たちと一緒にキャンプしたり、人見知り気味の自分がそういうことをできてしまう温かい雰囲気も朝霧の大きな魅力なのだと思う。

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そして朝霧の大きな楽しみといえば、何といってもキャンプ。会場でキャンプ生活をしながら過ごすことこそが野外フェスの醍醐味とするなら、オールキャンプインの朝霧はフジロックよりもフェスらしいと言える。そんな朝霧をディープに楽しむなら、やっぱり自炊ができるキャンプサイトB。荷物運びはハンパなく大変だけど砂利道を歩いてひとたびこっちの空間にくると、まるで別世界のよう。そこはキャンプ村と化していて、メインの楽しみは完全にキャンプ生活&バーベキュー、ちょっと音が恋しくなったらステージエリアまで顔を出してみるか、そんな人たちで溢れている。一度もステージを見てない人もいるのでは・・・? と思ってしまうほどだ。最奥地のカーニバルスターにあるドッグランでは、運が良ければフジロックでもお馴染みのシェパード犬ハルや柴犬ドン吉に出会える。他にはハンモックあり、長縄あり、ヘンプや草木染めのワークショップあり、ジャンベ教室あり、美味しいお店ありと、ここだけで子供から大人まで1日遊べてしまうエリアでもある。

どこでどう過ごしても楽しめる朝霧。こんな楽しい空間は、間違いなくそこに集まった人達一人一人が生み出しているものだと思う。そして最後の最後に会場を出る際、両手をいっぱいに振りながら見送ってくれるスタッフを見ると、改めて「また来年も絶対に行きたい!」という思いがこみ上げてくる。そして、そう思うことができるフェスティバルというのは、主催者、スタッフ、地元の方、お客さん───フェスに関わる全ての人が一体感を持ち、そこから生まれる何か独特の雰囲気がその大きな魅力なのではないだろうか。日本を代表するフェスとしてフジロックやサマーソニックと言われることが多いが、朝霧JAMも日本が誇る素晴らしいオールキャンプインフェスとして真っ先にでも名前を挙げたい。

text by org-fumino,org-riko
photo by ikesan,keco

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posted by riko