チベット暴動に憤る! 難波章浩氏に緊急インタビュー

Posted on March 19, 2008
Filed Under インタビュー |

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 今回のチベット暴動はフジロックとも決して無関係ではない。ミラレパ基金(チベタン・フリーダム・コンサート開催はじめチベットをサポートしている非営利団体)の日本支部は、NGOヴィレッジにブースを出し、セットチェンジ間にはステージ・アピールを行っていた。そのミラレパ基金を設立したBEASTIE BOYSは昨年土曜日のヘッドライナーを務めた。ちなみにfujirockers.orgでも、過去にミラレパ日本支部にインタビューを行っているので、興味があればここを見てください。

 そして知らない人もいるかもしれないが、チベット人ミュージシャンもフジロックに参加しているのだ。99年に出演したナワン・ケチョ氏は、数々の日本人ミュージシャン相手に飛び入りセッションを敢行したが、同年グリーン・ステージに登場したHi-STANDARDも彼と共演をはたしたバンドの一つ。ハイスタはチベタン・フリーダム・コンサートにも参加している。関わりの深いアーティストとして、今回の報道を受けどう感じているんだろうか。メンバーのひとり、難波章浩氏(ULTRA BRAiN)に緊急メール・インタビューを申し込むと、快く引き受けてくれ、すぐに回答がスタッフの手元に届けられた。

1.今回のチベット暴動の報道を受けて、何を感じましたか。

怒りをとおり超した、憤りを感じました。ものすごく悔しかった。ほんと近年の中国政府にはアッタマきていましたし、ダライ・ラマ法王の動向や、チベットの現状には、出来るだけ耳を傾けるようにしていました。そして、2日に行われた、ビヨークの上海公演での「チベットよ!旗を掲げよう!!もっと高く、もっと高く!!」と言うとても勇気のある行動に胸をうたれた。まるでそのビヨークの行動に触発されたかの様な、10日チベットの僧侶達のデモ行動。ダライ・ラマ法王もその後声明文で訴えていたが、「名目上の自治」は、チベットの人々になんら利益をもたらしていません。およそ60年もの間、チベット民族がうけた苦しみは計りしれないものだったはずです。チベット民族平和の式典に、装甲車が突っ込んだと言う話もある。中国側の報道なんて全く信用できないですから。それでも「非暴力」「中道的なアプローチ」を続けているチベットの人々には、本当に心から尊敬しています。
 この武器を持たない、心の優しい民族を守るのは一体誰なのか?国連は何をしてるんだって思いますね。人権の尊重は、国連が最も大きな関心を払ってきたことです。国連憲章第一条は、国連の目的の一つとして、「人種、性、言語又は宗教による差別なくすべての者のために人権及び基本的自由を尊重する様に助長奨励する事について、国際協力を達成すること」とあります。人種差別撤廃条約に加盟している中国政府の行為は、明らかにこの条約の違反にあたると思いますし、中国政府が法的な制裁を受ける事を強く望みます。ダライ・ラマ法王も声明で述べている様に、世界中の人々にチベットの現状を知ってもらう必要を強く感じます。そして、この事件は同じアジアで起こっている事。世界で唯一、核爆弾を落とされた経験を持つ日本が、国連加盟国の一国として、毅然とした態度をとる事を望みます。もういい加減「日中友好、友好」と媚びばかりを売る、そんな弱い政府は見たくありません!そして国連が「真の正義」を発揮する事を強く望みますね。

2.難波さんは99年にHi-STANDARDとしてチベタン・フリーダム・コンサートに出演し、また同年フジロックではチベット人ミュージシャン、ナワン・ケチョ氏と共演し「フリー・チベット!」コールを巻き起こしました。もう9年前の話ですが、そうなった経緯や、感覚・感想・意見などで覚えていることを教えてください。

まず出演への経緯ですが、当時ミラレパの日本支部の田原さんから、直接出演依頼を頂きました。その後、提唱者であるビースティーのアダム氏と直接会って話す事ができて、メンバーみんなで相談した後、出演の意思を固めました。それ以前からダライ・ラマ法王の書籍は読んでいて、大変興味を持っていたので、ライブの誘いがあった時は正直嬉しかったです。その時はじめて、自分の音楽活動の責任がとても大きなものになっているのを感じました。ナワンさんと初めてあった時の印象ですが、何故か幼なじみに再会した様な気がしまた。それはナワンさんも言っていました。それから楽屋でみんなで意気投合して、すぐにナワンさんはボク達の音に入ってきていましたね。その時のライブはとても力強いものでしたし、それが若者達に心に響いたんだと思います。みんなが大きな声で「フリーチベット!!」と叫んでるのをみて、純粋に民衆の力の偉大さを感じました。ライブはいつもと違う緊張をボク自身感じていました。最後の曲ではもう涙がとまらなかったけど、もうそれを隠すことは出来なかったですね。それからハイスタは活動が止まってしまって、その後バンドでチベタンの活動に参加出来なかったのが心残りです。しかし今チベタンがあればって本当に思いますし、先日田原さんにもメールしました。今ボクなりに出来る事はやってみようと!

3.難波さんはダライ・ラマ14世とも会われてますが、どんな話をしてどんな印象を持ちましたか。

映画「セブンイヤーズ・イン・チベット」や「クンドゥン」を見て、とても興味がありました。まさか自分がお会いできるとは思ってもみませんでした。ホテルの一室に学生達15人ぐらいの中に混ざって、法王を待ちました。目の前に現れた法王は、まさに「生き仏」、神様でした。映画の通り、輪廻転生を疑う気持ちはもうなくなりました。法王から放たれるオーラに圧倒されながら、目をつぶる暇もない位すべてを感じたいと思っていたと思います。言葉はとても深く、理解するのは難しかったのですが、何故だかすべて話している意味が伝わってきました。まなざしはとても優しく、ボクの緑の髪が気になったのか、ボクを見ると自分の頭に手をやって笑ってくれました。一番印象的だったのが、法王の声です。その声はとても力強く、心地よく、大きな滝の様でした。最後に質問の時間がありまして、「DO YOU LIKE MUSIC?」と聞くと、「NOT SO MUCH」と笑っておられましたが、ここはいかなきゃと思い、強引にハイスタのCDを手渡してしまいました。ボクの気持ちが伝わったと今でも勝手に思っています。今回ダライ・ラマ法王が、暴力が続くなら退位すると表明しました。これだけは絶対に避けなければならないと思います。

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4.今回のチベット暴動が難波さんの創る音楽やこれからの活動に、何らかの形で影響してくる可能性はありますか。

もちろんです!ボクは今一人で音楽を制作しています。何人かで創作するパワーは熟知しているつもりですが、一人と言うのはある意味とても自由で、自分の思いをダイレクトに納めることができると言うメリットがあります。実際このインタビューでもすべては自分の意見ですし、自分の責任で答えることができます。音楽にも色んな表現方法があっていいと思いますが、ミュージシャンがもっとメッセージをすればいいのになって思います。自分の中にある憤りをぶちまけるのがロックンロールだと思うし、パンクロックがもう少し闘ってもいいのでは無いかと最近思います。音は自由ですし、絶対に誰にも侵略される事はない。ボクももっともっと自由になって色んな技法で表現したいです。ジョンレノンが言っていました。「イメージしてごらん」って。ジョンライドンが言っていました。「アナーキストになれ!」って。ミックが言っていました。「自由でいろよ!」って。ビヨークの様な何者にも屈しない表現者がボクの理想なんです。その為にはストイックにスキルを磨く必要があると思うし、純粋に生きる必要があると思います。今ボクは沖縄でそのような事を学びながら音楽生活をしています。核爆弾をも破壊する様なスゴい楽曲を作るのがボクの夢です!ボクは心に決めたんです!「音楽で世界を変えてやろう」と。

5.難波さんに聞くことではないのかもしれませんが、今回の報道を受けた僕たちひとりひとりにも何かができると思いますか? 何かすべきだと思いますか?

必ず何か出来ると思う。決して行動をすることを恥じないで欲しいです。現代インターネットによって個人の表現の場がものすごく広がっています。「IT革命」の本質は、中央集権体制を崩壊させることにあるんだと思います。これまでの権力構造は、秘密を共有する少数の権力者を頂点に、情報を操作し、独占し、底辺に暮らす一般市民には真実を伝える事なく、その権力は永久に温存されようとしてきた。しかし、ITの普及によって、そういった権力構造の存続が危うくなる様な状況になってきている。底辺の人々同士があらゆる情報を共有できるようになってきている。「真実とは一体何なのか?」「正義とは一体何なのか?」ボク達一般市民が、すべての能力を駆使して、情報をクロスさせ、クリエイティブにコントロールしていく時代に突入しつつあるのだと思います。正直、政治には期待出来ない部分が多いですし。でもそのスイッチを押す権利を彼らが持っているのだとすれば、その彼らをコントロールするのは我々民衆なんですから!だから今すべての人々にチャンスがある、とてもフェアな時代だと言えると思います。とくにニュータイプの若者達にチャンスがあるのです。これはハイスタでも歌って来た節なのですが、あきらめずにアクションする事が、自分が何処にいるのか知る一番いい方法だと信じています。ボクも早く若者達に表現の場を与えられる立場になりたいです。DO SOMETHING&TAKE ACTION!!!

6.最後の質問です。ところで今年はフジロックにきますか?

フジロックには本当に沢山の思い出がありますし、また何かやりたいって気持ちが湧いてきているのは確かです。音楽は沢山の感動を与えられる。本当は息子にボクの勇士を見せてあげたいですが、今年はできれば遊びにいきたいと思います。でもそこら辺でアコギ弾きまくってるかもしれませんが。(笑)

7.その他これを読んでいるフジロッカーズやファンに向けて、メッセージなどあれば。

ハイスタで参加した99年のフジは生涯忘れることはないでしょう。
是非またボクのULTRA BRAiNで参加するのを目標にして、日々邁進して行きたいと思います。
音楽には人を変える力があります。音楽は爆発です!!!
日高さん、ボクも大人になりました。今度遊んで下さい!!!
PEACE!!!

難波章浩氏 / ULTRA BRAiN に関する情報はこちらを参照してください。http://www.ultrabrain.tv/mt/ (ULTA BRAiN HP)
http://profile.myspace.com/ultrabrain (UB MYSPACE)
http://mixi.jp/show_friend.pl?id=12910381 (TYUNK MIXI)

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posted by joe