[苗場特集]旅館組合さんとフジロック'03を振り返る
フジロック'03が終わって、早いものですでに5ヶ月以上が経過しました。2004年はどうなるかなんて話が、スタッフの間でも聞こえ始めてもいます。その、フジロック'04をより良いものにしていくためにも、僕らフジロッカーの問題点、旅館組合さんからみたフジロック'03を振り返っていただきました。
去年のフジロックでの一番の印象と言えば、何といっても天神山以来の本格的な雨。僕らの間でも、当然ながらレインコートと長靴は大活躍、というよりほとんど必需品になってました。それなのに…
「お客さんも慣れちゃって、簡単に考えすぎているなっていうのも現状ですよね。実は、今年もいたんですよ、あの雨なのに。"サンダルに短パン"のお客さんが。苗場に住んでる僕らでも、あの雨の中はやっぱり寒いですよ。せっかく高いチケット買って来てんのに、初日に風邪ひいて、後ずっと寝てるなんてことにもなりかねないですよ、ホントに。」
「会場の近辺にご宿泊された方は、まだ良かったんですよ。これがシャトルバスで下ったり、湯沢とか向こうに宿取られてるかたはもっと大変なわけですよ。バスに乗るまでにも時間かかって、乗ってからも宿まで30分以上寒い思いをするわけですから。お客さんも、それを体験として自分達の中に入れて考えてもらって、もちろん受け入れ側も考えないといけないのかもしれないですけどね。」
「まあ、大変といえば大変でしたね。でも、イベントとして基本的にアウトドアで、ホールでやってるわけじゃないから汚れるのは当然だと思ってますよ。お宿さんでも、玄関に靴を洗えるスペースを作ってくれたり、ヒーター焚いてくれたりって気の利いたとこもあったみたいですけどね。その辺はこっちも、足並みを揃えられるようにしないといけないんですけど…。今後の課題ですね。」
フジロック'03で、雨と同じくらいに印象的だったのがお客さんの数。2日目の1日券はソールドアウト。3日間で、延べ10万人以上とも言われるその数は、過去最高のものでした。
「雨以外であと、今年は会場外の町内のゴミが結構目立ったんですよ。2年前くらいと比べて、ちょっと変わってきているなあってみんな感じていると思いますけど。お客さんが絶対的に増えたからってだけではなくて、慣れから緊張感が薄れているんだとも思いますよね。」
それだけお客さんも増えれば、宿も駐車場も取りにくくなるのは当然。そんな中、旅館組合の皆さんは、せっかく来てくれたお客さんに苗場を好きになってもらおう、もっと過ごしやすいようにサービスを改善していこうと、いろいろ考えてくれています。そのためにも、ぜひみなさんの生の声を聞きたいと、しきりにおっしゃってました。
「お互い慣れてきた、というところで、どの程度を求めているのかがわかってきたのはありますね。温泉旅館には、温泉にはいりにくるでしょ。でも、フジロックには、フジロックを楽しみに来る。泊まるのも温泉も、そのオプションでしょ。安く押さえたいお客さんには、素泊まりの宿もあるし。」
「僕らとしても、お客さんの生の声は是非聞きたいんですよ。いくらくらいの値段設定で、って話はしているんですけど、フロントでお金を貰うのは個々のお宿さんですから、必ずしも統一できない部分も出てきてしまう。それでも、歩いて10分の宿と20分の宿があって、20分の方に毎年来るお客さんもいるわけですよ。それはやっぱり、大事にしてくれるから。そういった部分のお客さんの生の声は、僕らとしても是非聴きたいです。逆に、車で寝たり、キャンプサイトとかそういったお客さんの声も聞いてみたいですね。なんで泊まらないのか。泊まりたいけど、自分の考えるラインより高いから泊まらないって人もいるじゃないですか。」
「お客さんもあきらめてると思うんですよ。泊まれなきゃしょうがないから、少し高くてもいいやって。でも、それでは長くは続かないでしょ?お客さんが意見を言ってくれて、それを組合としても来年以降につなげていきたいと思っています。足元見るようなサービスは当然してないと思いますけどね。例えば、1部屋を3人でお使いいただいて3日間なら、優遇するのは然りなんですよ。でも、お2人で来て中日1泊だけでは商売上見合わない。前後の2日間、部屋を空けてしまうリスクが出てきますし、他に3泊されたいお客さんがいても、そのお客さんが泊まれないワケですよからね。ただ、2人ってのが圧倒的に多いのも事実ですね。直接お客さんの声から、そんな部分にガイドラインを作れたら、お互いに利益になると思うんですけどね。」
フジロックをやるにあたって、一番最初に日高さんが思ったのは、「個々の問題」ってこと。規則で縛るとか、人をコントロールするのだけはイヤ。'03を迎えるにあたっても、「お客さんも主催者側も旅館さんも、お互いに馴れてきた。ここらで"ふんどしの締め直し"が必要だ」と話していたとのことでした。
「例えば、神社のお祭りと同じだって日高さんが言ってたんですよ。神社までの送迎なんて、当然無いですよね。雨が降りそうだと思ったら、傘を持って出掛ける。みんなが寒いって言うなら、一枚多く着ていく。それで、お社まで行ってお参りする人もいれば、屋台やその場の雰囲気を楽しんで帰る人もいる。それの大きい版がフジロックだって。」
「たった3日間でもいいから、時計なんか外して、生きてるって事がどういうことなのか、考えてみよう。」ジョーストラマーが、某インタビューで話していたこの言葉は、フジロックの核を言い当てている気がする。時が流れて歳をとることだけが、生きていることじゃないだろう?
そんなフジロックを、今年も来年も開催できるように、地元の方々はいろいろと考えてくれています。もちろん僕らも協力を惜しまないつもりです。あとは、これを読んでくれているみなさん次第。去年の経験、反省を今年以降に生かし、もっともっと快適に楽しめるように。ここはもっとこうした方がいいんじゃないとか、こんなサービスがあったら嬉しいんだけどとか、ぜひ皆さんの意見も聞かせて欲しいと思います。 ORGスタッフにメールをくれてもいいですし、BBSに書き込んでくれてもOKですんで。ぜひ、よろしくお願いします!
(January 15, 2004)
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