
Around The Fest. Vol.10 --溢れるロックへの情熱を聞いて欲しい... 三菱自動車ブランド戦略部部長・関雅文さん--Part3--
車を主人公にしないCMを作ろう
「(そういったCMの音楽については)けっこうその手の話はよく訊かれるんですよね。最初はランサーセディアという車のCMを作る時、昔のいい時代のフランスをテーマにしてミシェル・ルグランの『ロシュフォールの恋人たち』という映画のサントラの1曲を使ったら、過去にないすごい数の反響があったんです。僕らはそんなこと想像だにしなかった。レコード会社の人たちもびっくりしてね、急に売れ出したりんで。それで音楽というのはコミュニケーションの手段としてはかなり有効でないかと、これはCMの話ですが。音楽というものをじっくり考えようと...
で、去年うちの会社でニュー・ヒストリー・キャンペーンというのをやって、初めて企業広告を作ったんです。そこで"あらゆる世代の人とコミュニケーション"というのが目的だったんで、ビートルズが一番わかりやすいシグナルだろうと。それで"マジカル・ミステリー・ツアー"を使って。そして今年の企業広告には"レイラ"。今はエアトレックに"ジャンピン・ジャック・フラッシュ"かな。なんか大物喰いみたいで恥ずかしいんですが(笑)、15秒でインパクトがあってお客さんとも好意的に向き合えるというビジネス面も考えるとなると...これでも一応部長なんでね(笑)。
もちろん車を売るために広告って言うのは作るはずなんですが。だけどあの("レイラ"をはじめとする)CMを作るときに考えたのは、初めて"車を主人公にしない"広告を作ろうと。つまり、僕らがお相手させて頂きたいお客さんってこういう人なんですっていうのを出そうと。そういう人たちが車を通してこんな生活を送ってもらえればとても嬉しいという構図、要するに"お客さんを中心に描く"ことをひとつの約束事としました。若い方、年輩の方、中年の夫婦、免許取りたての方、いろんな方が車を使ってくれてる。そういう日本人を主人公にしようと。それで、曲まで日本のものにしてしまうとベタすぎるので、"レイラ"が浮かんできたんですが。
"HEART BEAT MOTORS"というコピーもそうですね。それを作った時の企画課長がぼくで。車を通してお客さんをうきうきわくわくさせたいという思い、そういう車を提供したいという思い。HEART BEATといっても速い車でびゅんびゅん飛ばしている人だけを対象にしているわけじゃない、五十・六十代の人なり色んな年代の人に楽しい思いをしてもらいたい。そういうメーカーになるんだ、という願いが込められています」
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Intro/Part1/2/3/4 reported by ORG-joe (July 24, 2002)
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