
Fuji Rockin' People Vol.9 --岡田美和氏--Intro
---Fuji Rock Festivalにはいろんな分野から数多くの人たちが関わり合っています。というので、そんな人たちを紹介しようと思って始まったのがこのシリーズ。その9回目となる今回、ご登場願ったのは第1回目のフジ・ロックからグリーン・ステージの舞台監督として開催期間中はほとんど不眠不休で働き続ける岡田美和氏。確か、大将が「フジ・ロックをやる」と言い始めた97年の始め、「やばいよ、つぶれちゃうよぉ!」なんて言っていたのに、必死になって舞台裏を支え続けてきたのがこの人だ。じっくりと読んでちょうだいね。---- by ORG-master
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熱い。岡田さんは熱い人である。この日、テープに録音したのが1時間、実際その3倍くらいフジロックについて語ってくれた。その録音したテープの中の会話も最初から最後まで余談もなくびっしりとフジロックのことで埋まっている。この1ヶ月間は、ほぼ毎日テープを聞いて、岡田さんの話をどう伝えようかと苦心していたのである。
話は舞台監督の仕事、フジロック創世期のこと、フジロックへの思い、「10年たったら仕事を後輩に渡して、俺は客として行くよ」という言葉が特に印象的である。長くて読みにくいかも知れないけど(これでもかなり削った)、是非、最後まで読んで頂きたい。スタッフの方々がこうして働いているおかげで、素晴らしい音楽を体験することが出来るのだ。
【会社で言うと人事と総務を兼務!?】
舞台監督の仕事は会社で言うと人事と総務を兼務したような、そんなとこじゃないかな。人によってやり方違うだろうけど、みんなが効率よく気持ちよく出来るように仕事が出来るように考えてあげるのが自分の仕事だと思っている。
働く人たちに、ごはんや風呂や移動の足とかを用意したり、極端なこと言うと「コインランドリーがどこにあるよ」と教えてあげるとかね。こういう使い方をしてあそこは使っていいよとか、インフラを揃えてあげないとみんな大変だから。
フジロックが始まってからはグリーンステージの裏にスマッシュの佐潟さんと2人で、あと助手というかペアでいるんだけど、ショウを上手くやる段取りをしてあげる。そんなに僕が「あれしろこれしろ」って言って動いているのではなく、みんながより良くしようと思うことが反映できるように、一人の人が持っているものが、それが良いというなら、みんながそれを出来るように情報を持ち合うとか、そういう気持ちで出来るようにモノを作るっていうのが僕の仕事だから。
実際ノルマがあって何個のものを何時間で運ぶというタイプの仕事ではないと思う。ソフトウエアみたいなものだと思う。本番中はビッグネームだったら向こうからスタッフがついて来るんでそのスタッフが僕らと事前に簡単な約束や打ち合わせをするんですよ。ショウは何時間で、どういったものを持って来てどうしますよとか。それがその通りに出来るようにサポートしてあげるのが、本番中の主な業務。
バンドのショウの内容まで立ち入った部分でなくて、彼らのやりたいショウが出来るように調整を取ってあげること。映像を使いたいならスクリーンを手配して、向こうから持って来れないものをこっちで手配したものがあれば、彼らが持ってきたモノをサポートしてセットしたりっていうのも仕事ですし。言ってたのと違うものを持ってきたりもするけど、なるべく使えるようにする。日本に揃わないものをオーダーされたときには、違うものなんだけど、同じ機能で同じように見えるものを提案して、彼らの持ってきたもので出来るように調整してあげたり。今はそれほど向こうから来るアーティストもデタラメでベラボウなことを言う人はいなくなってきているんで、昔に比べると大分良くなってきたんじゃないですか。細かいことでいうと、思い違いというか、僕らが「何とかするよ」といったことに関しては、向こうはやってくれるものだと思い込んでくるし、僕らが「出来る限りは何とかする」というのを、向こうはOK、Yesって取っているし、やりとりの行き違いがあったりする。
【ゴールデンウイーク終わりころから、施工に入る前までに5回か6回くらい行ってま す】
去年のフジロックが動き始めたのは、おととしが終わって苗場スキー場がオープンする手前だよね。10月末、11月始めくらいに1回現地に行って、前回の問題点に対する今回のアプローチみたいな反省会を兼ねて現場に行ったりした。雪があるシーズンは下が見えないわけですから無駄なんで僕らは行かないけど、ゴールデンウイーク終わりころ雪が消えるんでその時期から、実際に施工に入る前までに5回か6回くらい行ってますね。今年はまだ「動いている」っていうところまで動いていないけども(1月8日時点)、気持ち的には今年のいいバンドが決まってくれれば、問題点があった部分に関してスタッフごとに集まっては話し合っている。
全く何もない原っぱからあの会場を作るわけだからね、施工中は毎日居ますよ。基本的には朝の7時にめしを民宿で食べて、8時に現場に集まって――音響、照明は一番最後の方なんで――まずは、道具屋さん、テント屋さんと建設重機入れてくれる人たちと集まって、各チーフ達と、今日はここをこうしますよと打ち合わせてから、何ヵ所か同時にやっているんで、みんな分かれて作業に取りかかかります。終わるのは、夜の7時くらいかな。僕は次の日の段取りとか、明日やらなきゃいけないことを話したうえで、お風呂に入って寝るのが11時12時だな。健康的な生活をしているという。
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Intro/Part1/2/3/4/5/6
Reported by ORG-nob (Feb 15, 2002)
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