
Fuji Rockin' People Vol.9 --岡田美和氏--Part3
【朝霧アリーナから360度見回したときに高圧送電線がないのよ】
朝霧のときはスタッフがいつも通り民宿に泊まってとかだと、あんまり面白くないんで20人くらいあの会場から車で3分くらい、歩いたら20分以上かかるところなんだけども、すぐ隣接地に農場の人がやっているログキャビンあるんだよ、そこに泊まって朝晩自炊したね。寺田さんと俺とテントを借りてくれているオムニの宇野さんと3人で一生懸命めし作ったね。20人分の次の日の朝めしを作りながら翌日の仕込をしつつ、酒のつまみを作ってなんてことをやってましたね。
朝霧の良さって初めて見たのが97年が終わって1ヵ月後くらいにあそこ見に行ったんです。他に富士山の周りはどこが出来るんだろうというレベルで、みんなで探検したんですよ。御殿場の陸上自衛隊の総合火力演習をやる場所も見てきたし、富士パノラマスキー場って山梨にある全然富士山が見えないところまで見に行って、アルフィーが昔やったホテルの中庭も見てあの周り全部見て一番燃えたのは朝霧なんだけど、本当にここで出来るのかっていうほど難しかったわけ。初めて見たときにすごく感激したのは、あそこって昼間朝霧アリーナからぐるっと360度見回したときに高圧送電線がなくて、電柱が一本も見えないのよ。で、こうところでやれたらいいなあ、やっぱり苗場は開発なんだよね。スキー場っていう企業が持っているパワーがあって、無理なことも一緒にやれたから出来たと思うんだけど。
朝霧とか、地元民の理解があって、ああいう場所で一週間やりたいね。例えば、地元のお祭りってあるじゃないですか。普段絶対許されないことが許されちゃう。岸和田のだんじりとか青森のねぶたとか、大きいお祭りがあるじゃないですか、ああいうものは法的な規制が出来る以前からやっているから祭りは別モノなわけですよ。ところが、僕らがやるロックのお祭りは規制の中からやってきてお役所の許認可じゃないけど、申請とか必要なわけですよ。
【儲かる儲からないじゃなくて、10年やってくれ】
フジロックが定着していけば、地元も楽しい、お金も落ちる、いろんな人が来てくれて、いい場所だって言ってくれる、観光客も増える。それを続けられるだけの手入れをしていかなきゃいけないんですよ。日高さんは勝手に夢を語りながらあっちこっちの街に行っちゃうんですよ、そういう男がいて、日本ではなかなか難しいのかも知れないし、その続けていくっていう情熱も失せやすいのかもしれないけど、儲かる儲からないじゃなくて、10年やってくれと。
コストの面で言えば、日高さんが「お前に払うギャラないよ」と言ったら「めしと寝る場所あったらいいですよ」、「寝るとこないよ」と言ったら「テント持ってきます」、「弁当ないよ」と言ったら「だったら、イモと米と塩下さい」でいいかなと思っている。でも10年やろうと思うんですけど。それが結果的に良かった悪かったっていうのは、その時考えればいい。だけど、ひとつ10年やったときに、こういうフェスティバルのルールというか、作り方というか、学生のときに初めてあれを観たってやつが高校生だったとしても、10年たったらいい社会人じゃない。そういう本当に好きな人が仕事に目覚めて「おれたちがもう10年やるぞ」という意識を持ってくれれば、ずっと続きそうな気がするんですよ。歴史っていうかね、5年じゃエントリーで10年でやっとひとつの足跡をつけると思う。出来る限り僕は10年やって下さいってお願いしているんですよ。すごく難しいんだけどね。いろんな意味でね。
Part4へ
Intro/Part1/2/3/4/5/6
Reported by ORG-nob (Feb 15, 2002)
|