・
限りなく自由なグラストンバリー・フェスティヴァル・レポー第1弾
|
--Glastonbury 2002報告第1弾--
出演バンドが全く発表されていないのに、3週間で10万枚のチケットが売り切れた、そんなGlastonbury Festivalに行ってきました。私は2年ぶり2回目の参加。今回は友人の好意に甘えて、日本から来られたfujirockers.orgの方々と合流して、一緒にバックステージでテントを張らせてもらえることに。というわけで、すっかり関係者気取りで、快適なフェス生活を送らせていただきました。

ロンドンからのドライブの途中、小さなパブでディナーを済ませ、ビールを飲んですっかりご機嫌。途中、夕陽がとてもきれいだった。会場が近づくとさすがにワクワクが隠せない。目の前に広がる緑の丘に色とりどりのテントの花。はじめて来たとき程の感動はないものの、やっぱりグラストは規模が違う。
一般のお客さんとは違う入り口から入り、会場内を車で横断し、ステージ裏の駐車場に車を止めると、もう目の前がキャンプサイト。2年前は、駐車場から重い荷物を持って、どのくらい歩いたことか....(遠い目)。そこは、なんとPyramid Stage (一番大きいステージ)の裏と Other Stage (2番目に大きいステージ)の裏とに挟まれている。移動もしやすい上に、なんてったってトイレがすいている!(手洗い場には石けんだって置いてあった)←これ重要。

今年は、新型スーパーフェンスのおかげで、やはり人の混み具合が2年前と全然違った。犯罪もかなり減ったのだそう。このセキュリティーの強化についてはいろいろな意見がありますが、やはり、これでよかったのではないでしょうか。 ちなみにある知り合いの話によると、今回柵越えを試みた仲間たちは、セキュリティーの人に車に乗せられ、かな〜り離れた場所まで連れていかれたのだとか。どこかで柵越えに失敗した人々が集まってパーティーしていたりして...。
私が毎日どういう風に過ごしていたかというと、朝、9時頃に起き、プレステントで無料のコーヒーと新聞、イギリスの音楽雑誌Qが発行しているデイリーグラスト新聞(もちろん無料)を取りにいき、自分のテントに戻って一読。
11時半頃に同行したカメラマンの方の大きなテントまで行って、グラストに向かう道中にスーパーで買っておいた食材で、サンドイッチを手作りしてもりもり食べる。早速ビールと共に。そこでおしゃべりして情報交換したり、プログラムをチェックしたりして、今日は何を観ようかな、とおおまかに予定を立てる。その後、ステージの近くまで移動する。
ビア・テントでビールを調達して、適当な場所を探し、どっこいしょ、と座る。実はライブのことは、あんまり憶えてません。でも、生演奏ってやっぱりいい。しかも野外。演奏するアーティストものびのびとやれていそう。寝転がって前を見ると空が広がっていて、雲が移動していて。当たり前のことなのにすごく新鮮だったりします。
そして私にとっては、それこそがフェスの楽しみというか、醍醐味というか。酔っ払っていようが、ご機嫌で踊っていようが、そのへんに寝そべっていようが、誰も気にしやしない。なにもしなくたっていい。それぞれの人が自分なりにその時を楽しめばいい。そんな自由な気持ちに。グラストには、そういう和みの雰囲気があるのです。ああ、なんて贅沢なひととき...(と、いうわけでほとんど写真も撮らず、寝ていた)夜は最後のバンドを寒さに耐えながら見て、1時頃にはテントで寝袋にくるまり、みのむし状態でぐっすりと眠りについていた。
風の強い時もあったけど、雨は小雨くらいですんだ。しかし、夜の寒さはやはりわかっていたつもりでも予想よりもずっと寒くて(吐く息が白いくらい)、防寒具をもっと持ってくればよかったなぁ、とまたもや思った。
ところで今回は、毎日同じタイカレーを夕飯に食べてしまいました。安くはなかったのだけど、とても美味しかったので。他にも、ポテトウェッジは2回食べました。マヨネーズつけて。ビールのおつまみに。香ばしくてやみつきに。イギリスのフェスだって、食べ物もなかなかおいしいよな、と思ったり。当たりハズレはありますが。
フェスの間、いろいろとおもしろいこと(くだらないこと)はあったのですが、Pyramid Stage 前での出来事をひとつ。ある酔っ払いのお兄さんが、そばにあったトイレット・ペーパー(フェスの必需品)を引き出すと、自分の前に座っている人に渡し、「これ、前におくって」と話したのか、またその渡された人が前の人に渡し... トイレット・ペーパーの白い帯が人の間を縫って、どんどん前のほうに延びていくようすは、なんともおかしかった。
それから、夕方、冷えこんでくると、おもむろにゴミを集めだす人が増える。えらいなあ、と思ったら、実は焚火をするための燃料を集めているだけなのです。原始的というか
本能的というか。しかし、火の力はすごい。当たり前のことけど、普段、火にあたる、という行為をすっかり忘れている生活をしているので、そんなことに妙に感動を憶える。そばにいると、本当にあたたかいのです。そして、翌日の朝、芝生の上にはところどころぽっかりと黒こげのはげができている。ゴミだって、みんなポイポイと捨ててしまうので、夕方にはそこいら中、ゴミだらけ。男の人は、思い思いの場所で立ちションしていたり。トイレに関しては、さすがに規模の大きいフェスだけあって、最悪の思い出が皆あるようです。グラストのトイレを経験してさえいれば、他のフェスのトイレなんてちっとも怖くないような。
それにしても、なぜみんなここへ集まって来るのか?ひとつだけ言えることは、私はまたここに来たし、またいつか来たいと思っている。それは多分、グラストは単なる音楽イヴェントではないと知っているから。いつまでも続いていってほしいものです。(同行させていただいた皆様、いろいろとありがとうございました。ワインもウイスキーもほとんどひとりで飲んでごめんなさい。)
report by chiaki and photo by hanasan under kind permission (July 12, 2002)
|