日付も替わって2月8日、0時30分。
実はこんなにもお客さんがいたのかと思うほどの人で埋め尽くされる。あんなにも煙たかった喫煙スペースにも人がいない。まったりと食事をしながらなんて人もごくわずか。スクリーンに゛FF゛のロゴが浮かび上がる。定刻きっちりにあの男たちが登場! Foo Fightersのおでましだ。
昨年のフジでは、デイヴがQeen Of The Stone Ageのドラムとして参加したり、秋には一夜限りのFoo Fightersのシークレットライブのために来日したり、新譜がリリースされたりと... だった彼らだが、正式な形でのライブは、'00のフジロック以来になる。
Foo Fightersのライブは、ビデオでは観たことがあった。それも良かった。でも音量は自由自在に変えられるし、ライブを私の好きなように同じ所を何回も観たり、早送りしたりできる。そんなことでこんな風にライブは進んでいくんだろう、なんてわかったつもりでいた。今はそんな自分が恥ずかしくて仕方がない。全然わかっていなかった。
とにかく圧倒的だった。もちろんFoo Fightersまでのアクトも素晴らしかった。しかし桁が違いすぎる。もうそれ以上の言葉が見つからない。
しかし、こんなに笑(え)になる男達は他にいるだろうか。本気になればなるほど笑えてくる。とにかく全てにおいて本気だった。ギターを弾くことも、ベースを弾くことも、ドラムを叩くことも、そして歌うことも。こんなに本気な人、他にいるだろうか。曲を演奏することも本気ならば、MCも本気。とにかくよくしゃべる!しかも声もデカイ!! 「タプヤキ?」・・・「アッ!タコヤキ」、「ドナイ?」とご当地ネタももちろん忘れたりはしない。テイターのポコポコという音にあわせて歌舞伎のものまね。エディ・マーフィーのものまね。
"All My Life"の静かなイントロが始まった一秒後にオーディエンスのボルテージはこの日の最高潮を迎える。早くもダイヴの嵐。目の前には真っ赤なTシャツを着たデイヴがいる。"Times Like These"、"Learn To Fly"...新旧織り交ぜてのセットリストが襲い掛かってくる。他の人、他のバンドがどうであれ関係ない、これがロックだ、ちゃんと観ておけ。そんなメッセージを直接受け取ってしまった。
ライブも後半に差し掛かった頃、デイヴの姿が見えなくなった。ステージから降りてきて、ちょうど観客のブロックの中央にある花道をどんどん進んでいく。慌てるスタッフにお構いなしでオーディエンスと戯れる!そんな光景を眺めながらテイラーがリズムを刻んでいく。結局、一曲終わるまでステージには戻らなかった。そしてラストの"Break Out"。怒涛の一時間強のライブだった。
Nirvanaのドラムだったとか、特にデイヴに関しては語り尽せないほどのことがあるかもしれない。私よりもデイヴのこと、Foo Fighterのことを理解して、愛してきた人がここには溢れていた違いない。でも、今日この場所で直に感じ取ったモノはそんなことではない。今、ここにいる等身大のFoo Fighersだった。
*なお、写真に関してはウェッブでの使用を許可されなかったので、テキストだけのレポートとなります。