音源を聞いて最初に思ったのはニューウェーブ。パンクのわかり易い部分にキーボードやパーカッションを加えるという手法がニューウェーブの特徴なのだから当たり前の話だが、実はそういう音が大好き 　重く厚くハードな音を多用するパンクバンドが増殖し続けるシーンにおいて、彼らの奏でる軽薄でポップでキャッチーな音はノスタルジーをくすぐり、新鮮な好奇心が充満したとある心の部屋のドアを遠慮のかけらもなくノックしてくれた。いや、ノックもしないで入ってきやがった。 　だからライブパフォーマンスも大注目していて、密かにこの日一番のお目当てだったりして。いや、マジで。 　そしたらやってくれました。

ギターのトミーの絵に描いたようなテレキャスターの音は細身の刀身ながら恐ろしく良く切れるナイフのように空間を切り裂き、曲によってベースのアンソニーとチェンジするヴォーカルは、ケバケバしい巨大な毒キノコの兄弟が胞子をふりまくようにオーディエンスをカラフルなポップワールドに引きずり込んでいた。そのアンソニーの引くベースは硬く、の太くシンプルなフレーズでバンドをレールに導いていた。キーボードのジェラードとパーカッションのＰＪオコーナーは単なるポップパンクになりがちなこのジャンルのバンドを遊び心いっぱいに明るく照らす。さしずめ音の福利厚生。

そして実はこのバンドのカラーを決定づけているドラムのグレッグはライブにおいても強烈な存在感を示していた。 　いやあ、それにしてもわかり易い。キメの部分でピタッと止まって全員でシャウトなんかされた日にはもうバカ笑いするしかない。 　ニューウェーブ華やかなりし頃のXTCやウルトラヴォックスやスクィーズなどのライブを目の当たりにした人たちを羨ましいと思ったことが何度もあるが、もう大丈夫。今はヤツらがいる。 　Radio4、サイコーに気に入った。