
Around the Fest.1--小野島大氏--Part1
――フジロックを始めると聞いてどう思いましたか?
「スマッシュの会社の規模で、あれだけデカいイベントをやって大丈夫かな、とは思った。もちろん楽しいイベントにはなるだろうけど、大丈夫なの? っていうのは、音楽業界の人間はみんな思ってたんじゃないかな」
――1年目が終わったときにはどう思いましたか?
「これでスマッシュは潰れるんじゃないかと思ったよね、正直な話。実際は保険に入っていたらしいんで金銭的な被害はそんなになかったようだけど。一番仲良くさせてもらっているプロモーターだし、スマッシュの行く末の方が気になった。
あのとき、スマッシュの掲示板でのスマッシュ批判が凄かったけど、台風の中の惨状で主催者も客も運が悪かったということはある。ただ事実として主催者側の不手際はいっぱいあったようだし、もちろん客の側の未熟さというのもあって、その辺を踏まえた記事を『ミュージックマガジン』に書いたけど、他の雑誌はみんな何の問題もなかったような記事構成をしていて、それは頭に来たよね。もちろん我々マスコミの側も無実ではないし、反省すべきところは反省しないと、この種のイベントが根付くことは不可能だから、なるべく客観的に、評価すべきところは評価して、批判すべきとこは批判して、客観的な記事を書くように心がけたつもり。
でも、日高さんとも話したけど、一年目はあれでかえって良かったんじゃないかな。無事に終わっていたら問題点が表面化しにくかった。一番最悪な形で問題が出てきて、それを克服する形で2年目以降があったわけだし」
――これからのフジは不便さを楽しむとか、きちんと整備したイベントにするのかっ ていう2つの方向がありますが。
「今年は人が多かったですよね。WIREでも思ったけど、人が多いと客の質が落ちてしまう。もちろんそういう言い方は傲慢だし、あんまり良い言い方ではないけれども。それまではフジロックにしてもWIREにしてもロックやテクノが好きで、自分たちのイベントを頑張って守って育てていこう意識がみんなにあった。とくにフジでは1年目の失敗があったから、みんなに危機感があったけど、何年かしてイベントが定着してしまうと、場の空気を読めない、マナーの悪い人もたくさん来ちゃう。もちろん、そういう人に来るなとは言えないから、ある程度インフラをちゃんと整備するしかない。日高さんが最初に意図したものとは多少違ってくるのかもしれないけど、それは仕方ないよね。だから日高さんは、朝霧JAMのような、不自由さを楽しむものを作ったんだろうね。
フジロックが大きくなって定着すると、フェスの基本的なルールやマナーがわから ない客が来るのは防ぎようがないし、そう考えると、快適に過ごすには自ずと方向性 が見えてくると思う」
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Intro/Part1/2/3/4
Reported by ORG-nob (Feb 09, 2002)
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