
Around the Fest.1--小野島大氏--Part2
【フジロックが変えたもの】
――音楽業界の中では「フジロックなんて面倒くせえなあ」と思って、いやいや付き合っているいる人はいるのでしょうか?
「俺の周りにはフジロックが好きな人ばっかりだからそういう人はいないなぁ。遠くまで行くのは面倒くさいと言う年寄りもいるけど、ほとんどの人はフジロック好きだし続けてほしいと思っていると思いますよ」
――どんなアーティストに出て欲しいですか?
「ロックとかテクノに片寄りがちなんで、もうちょっと幅広く、ワールドミュージックとかを含めて、フェミ・クティみたいなアーティストはどんどんきてもいいと思う。あれだけステージがたくさんあるから世界のいろんな音楽を聴きたいというのはあるよね。でも、アーティストに関してはどうでもいい……と言うと極端だけど、ぼくは雰囲気を楽しみに行きたいから。今年は一般的には豪華なラインナップだったけど、地味な顔ぶれでも行っただろうし。
苗場だから観たいというのは特にない。前にThe Whoが来るという噂があって来たら楽しいだろうなというのは思ったけど、苗場だから観たいというのはない。この間の来日公演を見て、ビョークをもう一度観たいと思ったけど、実現する可能性がありそうなアーティストだからね」
――フジロックで今まで良かったライヴは?
「良かったのは豊洲のビョーク、今年のパティ・スミス、昨年のROVO、モグワイ。その都度いっぱいある。アンダーワールドとか」
――フジロックが変えたものは何でしょうか?
「いろいろあると思うけど、ああいうイベントの楽しみ方みたいなものを客に教えたというのはあるでしょう。今までの野外コンサートは規制が多くて、野外なのにロープ張ってブロック分けしていたし、押し着せな感じで制約が多かったけど、そうでない楽しみ方を分からせたというのはある。
あと大きかったのは、洋楽ファンと、邦楽ファンの垣根を壊したことかな。今までは洋楽ファンと邦楽ファンは相容れないという先入観があって、洋楽のライヴに邦楽のバンドが前座に出ても両者が混ざり合う感じはなかったけど、フジロックでは普通に同じように楽しんでいるよね。それはもともとそういうお客さんが来てるのか、フジロックが育てたのか微妙だけど、お客さんがリベラルになってるのは痛感する。そうした状況を一番分かってないのが音楽業界じゃないかな。
そうは言ってもイエローモンキーなんかを見るとまだ壁があるような気がするけど、ミッシェル・ガン・エレファントやブランキー・ジェット・シティなんかは壁はないよね。ミッシェルはフジに出たのがデカかったと思う。極端に言えば豊洲に出るまではミッシェルはいかにも邦楽のバンドで、ああいうモッシュやダイブが頻発するスタンディングのフェスティヴァルに慣れてないファンが多くて、豊洲では客席が混乱して中断したよね。だけど、去年のフジでは何事もなかった。お客さんが成長したってことじゃないかな。
でも、しょせん小さい世界の話だけどね。GLAYが30万だか集めてやっているときに、あれだけバンドが集まって客の数は10分の1かぐらいでしかない。おれたちは少数派かというのはある(笑)」
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Intro/Part1/2/3/4
Reported by ORG-nob (Feb 09, 2002)
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