
Around the Fest.1--小野島大氏--Part3
――フジロックの教育効果というか、海外とビジネスしている人なら分かると思いますが、アーティストが、レコーディングとか奥さんの出産とか病気とか飛行機に乗り遅れとか単なるワガママとか、いろんな理由で来れなくなる可能性があって、それにいちいち目くじら立ててもしょうがないということを教えたような気がしますが。
「でも、それは怒ってもいいんじゃないかな。そのアーティストを楽しみにしてチケット買った人は、そりゃがっかりすると思う。責任を取れとは言わないけど、主催者は『申し訳ない』ぐらいの気持ちはあっていいと思う。開き直るのは傲慢だと思うけどね」
――でも、例えば、株を買って値下がりしたことについて怒っているような気がしますけど。
「株は下がるリスクを承知の上で買うけど、コンサートはそのアーティストを出るのを前提にチケット買っているのだから、極端に言えば契約不履行じゃないのかな? それを『そんなことは日常茶飯事だから、いちいち目くじら立てるな』とは俺は言えない」
――ただ、そういうアーティストと契約する方が悪いと言えば、そういう批判もあるかも知れないし、出演をギリギリになるまで発表しなきゃいいということかもしれませんが、いろいろ話を聞くとキャンセルはアーティスト側の原因によることもあるわけで。
「だから、日高さんが言うには、究極の理想は、当日までアーティスト名を発表しないでチケットを売りたい、『何月何日から何日までフジロックをやります』それでチケットを買って欲しい、というように、フジロックという場そのものが愛されればいいということなんだよね。実際はなかなか実現はむずかしいだろうけど。
でもアーティストが出る出ないで一喜一憂する現状は分かるし、それは避けられないでしょうね。それは入場料の高さにも関係しているし。大学生の小遣いで行けるくらいになれば理想だけど。
ただ、日本人はもっと楽しむということに関して貪欲になってもいいというか。サラリーマンが「金曜日にやるのは困る」というのは分かるけど、たまには一日くらい休んでもいいし、苗場まで行くのを面倒くさがる人もいるけど。レコード聴いたりビデオ観たりという色々な楽しみ方があって、その中のひとつにフジロックがあってもいい。そういうライフスタイルになっていくといいんじゃないかな。
俺なんかも出不精な方だし、今の仕事をやっていなければ、もちろん音楽は聴いていただろうけど、フジみたいな野外フェスティヴァルで楽しむことはなかったかもしれない。最初は仕事だったけど、今は心底楽しみに行っている。もちろん面倒くさいことはあるし、金銭的にも時間的にも肉体的な疲労とかいろいろと、それなりの代償はあるけどね。ラクして楽しもうというのはちょっと考え方が甘いかもしれない」
――フジロックへの希望はありますか?
「特にないです。ずっと続けて下さい、というくらい。もちろんサーカスとか、音楽と関係ないアトラクションがあったっていいと思う。それが入場料にハネかえるのはマズいかなとは思うけど。あと、出来るなら場所は苗場から変えて欲しくないですね。地元と上手くいっているようだし」
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Intro/Part1/2/3/4
Reported by ORG-nob (Feb 09, 2002)
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