
Around The Fest. Vol.6 --ミッシェルガンエレファントのマネージャー、能野哲彦氏--Part1
【願いとしては僕と同じような連中に聴いて欲しい】
おそらく洋楽のファンが多数を占めたと思われるあのときの会場で、熱狂の渦に巻
き込んだミッシェルガン・エレファントにとって、あのときのライヴは重要なもの
だったのだろうか?
――重要なものというのは、僕の中では一部にははっきりとあります。メンバーはど
う考えているか分からないけど、フジロックに何か刺激されて脳みその汁がこぼれ出
していくようなね。その感じはもの凄く僕にはあった。フジロックに出演をした時に
はもうその年の暮れから初めてのアリーナツアーを発表していたんだけれど、終わっ
て何日かしてツアースタッフとイベンターさんに集まってもらって、本当にやるの
か、できるのかという話をしたんです。いい意味でも悪い意味でもフジロックが終
わって、じゃあ次のミッシェルのライブがオールスタンディングのアリーナツアーだ
となれば、きっとファンが期待するものもあるだろうし、それ以上に僕らがこうした
いというものができるのかなって。もしそうじゃないんだったら、辞めようみたいな
話もしたと思う。でもフジロックという経験をしていたから、1ヶ所3曲で中止になっ
てしまった会場もあったけど、おおむね成功というか、自分としてやったことの手ご
たえは確実にあったと思っている。
(洋楽ファンも巻き込んだことについて)もしそうだとしたらそれはそれで嬉しい
んですけどね。ただ、日本でも海外でも一緒だと思うんですよ。日本でも海外でも格
好良いものは格好良いし、外国でもどうしようもないようなバンドもあるし。ロック
ンロールバンドで言えば、ここ何年かは全然、日本の方が格好いいと思うし、水準と
いうのかな、そこはもう一緒だと僕は思っている。
だからね、洋楽/邦楽の敷居なんてなくていいと思うんです。それはむしろ日本の中に強く残っているのかもしれないという感じもするし、海外では日本語が壁になるのかも知れないけど、少なくても外国ではドメスティックなものとそれ以外を分けるという分け方はレコード屋さんではないんじゃないかな。ロックとテクノとかのジャンルでは分かれてはいても。
極端なことを言うと、レコード会社でセクションが分かれているというのもおかしいですよ。ロックンロールが好きでそれをやりたけりゃ、洋邦問わずに格好良いと思うものをやればいいし。今でも洋楽/邦楽という感覚でしか音楽を聴けない人は少し寂しいなと思いますよ。だから本当は洋楽ファンを巻き込む、巻き込まないという感覚では
ないし、常に負けちゃいないぞという気持ちではいますから。
(フジの後)ファンが変わったと感じるものはあります。けど、それは自然にそう
なっていたんでしょう。まあ入れ替わってもいくんだろうし、男が増えたのかも知れ
ないし。自分が関わっていて、願いとしては僕と同じような連中に聴いて欲しいとい
うのが強くありますね。中学時代にパンクロック聴いて、同じように年を取っている
人がいて、いろんな理由でCDを買わなくなったり、ライヴに行かなくなったり。そう
いう人たちにこそ聴いて欲しいし、ライヴに来て欲しいですね。僕がそうなんだけれ
ど、こうね、自分が音楽を聴いて勝手に盛り上がる感じがね、そんな人たちに伝わる
と嬉しいなとずっと思っているんですよ。
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Intro/Part1/2/3/4
reported by ORG-nob & photo by ORG-nishiyan (July 5, 2002)
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