
Around The Fest. Vol.8 --HMVマーケティング部門長の藤田浩さん--Part4--
【洋楽にかけられるパワーが弱まってるよね。今はもっとみんな手組んで、フジロックというのがあるんだから、メディアも店頭もCD屋も媒体も盛り上げていかなきゃダメなんじゃないかな】
――いろいろロックについてお話していただきましたが、そのロックよりダンスミュージックのほうが元気がある現状はどう思われますか?
「単純に分母の違い、指示する人の数の違いですよね。HMV渋谷で言うなら1FがJ-POP、2Fがダンスミュージック、3Fがロックと。HMVが面白いのは、ちゃんとダンスとロックを分けてるし。1FがJ-POPや洋楽のヒット作流行もので2Fにダンスを持っていった。店舗移転して結構時間が経つけどその時点で、ロックが力を無くしててダンスの方が力持ってきたなというのを微妙に感じ取って、ダンスを2Fに持ってきて、3Fにロック、みたいな。でもそれは洋楽を無碍にしているわけではなく、もう絶対数分母が違うから。
でも洋楽やクラシックなどを大事にしているのは、渋谷HMVで言うなら1フロアごとにそれらを持っているし。(階の高さで)洋楽を足蹴にしているつもりは無いです。それをいうんだったら、(音楽コンテンツを制作する)レコード会社にもっとがんばって欲しいな。
なんでそういうマーケットになってしまうかというと、やっぱ邦楽の分母が大きいというのはあるんだけど、それに拍車をかけて、洋楽をどんどん村に閉じ込めているし。レコード会社の広告の出し方は、たとえば、これはロッキングオン読者向けなアーティストだと思ったらそこにしか広告出さないし。なんか村的なやり方でしょ。予算無いというのもあるんだろうけど。やっぱり洋楽が売れなくなりましたね、じゃあ売れないからコンピレーション出しますか、じゃ安易だよね。
レコード会社としてこれはいいアーティストだ、と思ったらリスク伴ってでも売ってくような姿勢が欲しいですね。HMVとしては、日本のレコード会社の洋楽に対するスタンスには、ちょっとがっかりしてて、それへの返答として、輸入盤キャンペーンを切らずに続けているし。輸入盤でいいから洋楽聞きましょうよ、って。それはそういう意味合いですよ。ていうか、洋楽ファンとか邦楽ファンという言葉自体もおかしいと思う。でも個人的にはロックのほうが好きなんで、3Fのロックコーナーにもっと人があふれて欲しいなぁと思いますね。
――ロックが元気無い原因の中に、ロックを生で見たこと、聞いたこと、感じたことが無いというのが考えられます。たとえば一昔前のジミヘン。名前だけは知ってて、いざ聞いてみたら、あ、こんなに凄いんだ、ロック、みたいな。そこで、藤田さんはロックが好きということで、好きだからロック盛り上げていきたいという裏側で、客がフジロックを経てロックを感じてくれればロックシーンは賑わう、と言う期待は当然されてるとは思いますが、どれくらい期待されてますか?
「洋楽に関して、音楽に関して言うと、ある時期はFM局からヒットが出た、FMでたまたまディレクターが見つけてきた輸入盤が問い合わせ殺到で、TVの主題歌で、雑誌で、店頭で、など。前はうちからヒットを出すんだ、うちが音楽を伝えられると、みんなそれぞれの思い入れ、気合、気負いを持ってて、やってたけど、今は景気悪くてどこの媒体も数字を気にしなければいけないから、洋楽にかけられるパワーが弱まってるよね。今はもっとみんな手組んで、フジロックというのがあるんだから、メディアも店頭もCD屋も媒体も盛り上げる、みたいな一体感というかコラボレートしていかなきゃダメなんじゃないかな。(実際はライバル会社でも)音楽盛り上げましょうよ、洋楽盛り上げましょうよ、ロック盛り上げましょうよ、という共通目的で。そういう気持ち、携わってる思い入れの問題だよね」
――最後にフジロッカーズを読んでくれている方に一言お願いします。
「今年もこの目と耳でいい音楽に出会って、それを持ち帰りしましょう!」
Intro/Part1/2/3/4 reported by ORG-nob (July 24, 2002)
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