
Fuji Rockin' People. 番外編 --FRF'03に向けて 馬鹿大将、日高氏に訊く(第3章 FRF展望)--Part3--
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俺としては、やっぱり色々な人に来てほしいんだよ。これは何度も言ってるけど、3世代に渡って来てほしい。そういう意味で去年ニール・ヤングを呼んで、実際ニール・ヤング世代のお客さんがたくさん来たけど、案の定その人達は今年帰って来ない。ま、それでもいいんだよ。リピーターになってくれれば嬉しいけど、ニール・ヤングだけ見に来たっていい。ただ、確実に思い出に残ってほしいと思う。
FRFが、世代に関係なくお客さんが来るような「楽しい場所」になり得れば、音楽ももっと普及していくと思う。もちろんビジネスとしても考えてるよ。でも売り上げうんぬんていうのは、はっきり言って期待してない。最初から「倒産しなきゃいいんだ」と思ってるくらい。
俺はさ、FRFをやれば、ルーティンワークになってしまっている音楽業界に、少しは刺激を与えらる、ポンッて石を投げられると思ってる。「レコードが出ました→宣伝しました→ツアーやりました→帰りました→2年後にまた来ます」....それはそれでバンドの都合だからいいんだけど、「それ以外は来れない」っていうのはちょっとね。レコード会社も「ツアー以外で」って言うと、「いや、レコードが....」。
本来ライブってそんなものじゃないよね?いい音楽で面白いパフォーマンスだったら何度でも見たいし、何度でも見られる。でも今の音楽業界はそうじゃない。音楽産業の1つとしてコンサートビジネスというのがあるからね。それも大事なことだけど、違うものがあったっていい。普段見るチャンスのないバンドを見て興味を持つお客さんが増えたら、結局そこで音楽業界の経済効果も生まれるだろうし、音楽業界の人達も、ちょっと物の見方が変わってくると思う。それが狙いだよね。
そしてお客さん達にも、「もっと違うものがあるんだよ」「音楽も含めて、世の中には変なものがあるんだよ」って伝えたい。
-- 確かに、FRFに行って、自分がガチガチにしてた価値観が解放されて世界が広がりましたね。だから、もし今、1年目のメンツが揃ったら逆につらいかも。知らないバンドを発見する喜びや、ライブ以外の楽しみを知っちゃったから。 --
お客さんが自分達でそうやって感じてくれることが、素晴らしいことなんだよ。俺達はそれを考えて出すだけ。「色々なものがあるよ」「来れば面白いよ」って、それだけしか言わない。大事なのは、そういう感性の豊かさを持てるような音楽環境があればいいってことだよね。FRFに来て色々な音楽を聞いて、好きになってほしいし、興味を持ってほしい。
今みたいなFRFにするっていうのも、1年目から頭にあったんだ。でも一番最初からこれはできないよね。場所もなかったし、まだ早かった。いきなり最初から自分の趣味でアフリカのバンド出すわけにもいかないよ。まずはたくさんのお客さんに来てもらって、うまく運営して成功させなきゃいけなかったから。
その結果、1年目はあのラインナップになった。スマッシュが十何年やってきた中で培った信頼関係やコネクションで集めたあのメンツが、ウチの核。それは今もほとんど変わってない。それを核にしてもっともっと色々なバンドを増やす。そうすると色々な人が来る。で、そうなる度に色々な場所に色々なものを設けていく。その繰り返し。
売れてなくてもいいから、自分達が好きなもの、自分達が評価できるもの、自分達が「こんな音楽やってる人に会えて良かった」と思えるもの....。そういうのを誇りにしたいよな。「こんな音楽やったんだぜ」って。売れようが売れまいが関係ないよ。
衝撃的な音楽、要するに今までなかった音楽は、絶対に世の中を変えるんだよね。考え方も少し変えるんだ。そういうのってね、映画にも絵画にも、小説なんかにもね、影響を与えるんだよ。
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Intro/Part1/2/3/4 reported by ORG-minifuji. (Oct 14, 2002)
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