
Fuji Rockin' People. 番外編 --FRFから朝霧ジャムへ 馬鹿大将、日高氏に訊く(第2章 朝霧の傾向と対策)--Part1--
音楽の部分で一番大切なのは、とにかく「有名なバンドは入れない」。
FRFの場合は、やっぱりまず成功しなきゃいけないから、大金がかかっても、それに相当するようなアーティストに来てもらわないといけない。そうじゃないとお客さんが来ないっていうことが本質的にある。もちろん、「来てみたら面白かった」っていうのはあると思うよ。でもその前に、「あれが見たい」「今年はこれ!」っていうのがあるんだよね。
朝霧には、それがない。「そのバンド知らない」とか「わざわざ富士山の麓まで行って見るかい?」とか。価値が低いんじゃなくて、知名度のある人がほとんどいない。今年はジョー(・ストラマー)くらいだけど、彼だってそんなにワーッて集められる男じゃないからな。

要は、「あの場の雰囲気に合うアーティストを寄せてやっていこう」ってこと。
今さ、トランスシーンとかレイヴパーティーとかいっぱいあるじゃん?俺去年2つ行ってさ。1つは「何考えてるんだろ?」って感じだった。ただDJブース作ってキャンプしてフリーマーケット置いて。なんのヴァイブもないし。「これがレイヴかよ?」と思ったね。もう1つは、ナチュラルで、ヴァイブがあって、すごく良かった。そういうのをやりたい。
だから、俺の頭にあるのは、「24時間」。ゆっくりとずーっとスライドしていくっていうかさ。
例えば今年は、初日にPE'ZやROVO、ローレル・エイトキン、清志郎君が出て、トータス。それからDJ。去年はステージが1つだったけど、今年はもう1つMoon Shineていうのを作ったから、22時以降はそこに場所を移して、今度はテクノやトランスで楽しんで。朝が来たら1回寝る。で、お昼頃からまた色んなバンドが出て、ジョー・ストラマーまで続く。19時くらいには終わらせて、日曜のうちに帰りましょう、と。そんな感じなんだよね、音楽的にも。
有名なバンドを入れるとさ、お客さんのテンションが「バン!」「バン!」ってエッジ型なんだよね。そういうんじゃなくて、なだらかなものにしたいんだな。
-- キャンプは嫌いじゃないし、むしろ好きなんですけど、朝霧でテント生活しながらライブ見るって、やっぱり躊躇しますね。それで去年諦めたっていうのもあります。 --
最低限のものしかないからね。でも一応キャンプ場だから、トイレはあるし、水もあるし、レストランも、バーベキューするとこもあって、みんなが1人1人勝手にやってる。去年来てた大阪の連中は、「何も見なかった」って言ってたもんな。「ずーっとキャンプして食ってました!」って言ってたよ。
朝霧は広いよ。東京付近から見ればそんなに遠くないしね。苗場と同じくらいの距離なんだけど、まあアクセスが違うからな。確かに駅からの距離はある。バスに乗っていかなきゃいけないし。
でもそういうものにしたいんだよね。目的だけがあって、バン!と行って、何時から何時まで見て....っていうんじゃなくて、「まあのんびり行こうや」っていうね。
「1番目のバンドが見れなかったら2番目を見りゃいいさ」「2番目のバンドもダメだったら3番目見りゃいいや」「ライブ終わった頃行って、キャンプでもして、朝一番から見ようかな」とかね。そしてそこでは「音楽が鳴っている」みたいなね。それもガンガンガンガンじゃなくて、リラックスできる音楽が鳴っている。そういうような感じだよね。だってステージのところにテント張れるんだから!キャンプとライブ、どっちもある。行ってみたらわかるよ。
本当は今年、有名なバンドを入れてバン!てやろうかと思ったんだよ。実際去年もそう思ったし。だけど、それじゃ意味がない。それじゃ、FRFをそのままスケールダウンしてやってるだけだから。
来てみてもらえばわかると思う。「何これ?」みたいなのんびりさだよ。景色がすごいからね。グリーンとかホワイトとかなくてさ、目の前が、もう目一杯富士山だから。
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Intro/Part1/2/3/4/5 reported by ORG-satori (Sept 18, 2002)
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