【今年の水問題に現場はどう対応したのか?】
今年の3日目は、フジロック史上最高の動員を記録して、天気も非常に良かったことから、フィールド・オブ・ヘヴンやアヴァロン・フィールドで水や食べ物が早々に売り切れてしまった。「自分のことは自分で守る」のが基本のフェスとは言え、当てにしていた飲食がなくなって困った人も多いと思う。出店を管理する寺田さんたちは、その事態にどのように対応したのだろうか?
「今年は暑かったからね。実はビールも水もポカリなんかも去年の5割アップで用意していたんだよ。まず、ビールの方なんだけど、2日目でなくなりつつあったのよ。それで最終日の朝にハイネケンだったら都内にある在庫を全部持って来いという話で、500ケース確保して持って来た。それが午前中に売り切れたんで、ハイネケンはキリンも含めて新潟にあるものを全部持って来た。これは対応早かったね。すごい優秀。それと地ビールの月夜野ビールもたまたま100樽あったんで、100樽入れたのね。それは実際出してみたら黒ビールだったんだけど(笑)、それをハイネケンの負担でやった。ハイネケンの田原さんが独自でそうしましょう、って決断したんで英断だよね。
それから水なんだけど、最終日500ケース用意したけど、瞬く間に売れちゃったわけ。午前中のうちにみんなして『どうするどうする』ということになって、社名は伏せるけど地元に大塚以外の水を扱っていたのがあったけど協賛会社に遠慮して断念した。それが駄目になったんで、協賛会社と集められるものを集めて欲しいという話になったんだけど、休日ということもあって対応できなかった。最終的には地元のストアから100ケース買ってきたけど、しょせんは100ケースの話でレッチリが終わったら3万人が移動するわけだから、それは瞬時に終わるよね。一時期は水道を解放して飲ませようかとか、いろんなミーティングをした。それはアヴァロンやヘヴンだけでなく、オアシスでも売るものがなくなった。供給が不足していたということは、来年の反省材料だね」
――今年はどれくらいの販売予測をしていましたか?
「協賛会社の担当じゃないからそういう話は分からない。僕らは現場のフォローをやっているけども。多分毎年何割かアップという形で用意しているはずなのよ。5割アップくらいかな。
協賛会社はそこまで売れるとは思わなかったのが現実だろうね。絶対数が足りなかったんで苦情があるのは仕方がない、苦情はあってはいけないけども、それがあったから来年はどうしようかという話はしている。
今年の反省材料のひとつだね。大塚さんが来年やるなら何らかの対策取ってよ――例えば新潟にゴンといっぱい置いておくとか、人間置いてすぐ対処できるように態勢つくるとか、トラック確保しておくとか――具体的な話になる。
今年は、飲食店で使う水道の方は断水なかったの。ただ、来年はアヴァロンフィールドに井戸掘れって(笑)ドラゴンドラ作るくらいの投資力があるなら。井戸があったらヘヴンとアヴァロンとホワイトは助かるよね。水の問題は、どう改善するかは(苗場)プリンス側とのやり取りだよね。ここまで定着しているんだから」
――今年はヘヴンやアヴァロンを中心に食べ物もなくなりましたが。
「苗場の最初の年はアヴァロンって人があまり来なかったのよ。食べるところはあるけど、あんまり人が来なくて売れないからみんな出店を嫌っていた。だんだんアヴァロンの人口が増えてきて売れるようになった。アヴァロンの場合は次の食品の供給があの地形だからなかなか出来ないんだよね。オアシスだったらリヤカーですぐ運べるけど、アヴァロンの場合はそうはいかない。アヴァロンは人口が増えているというのと地形的な問題があって『売り切れゴメン』という部分がある。だけど、そうは言ってられないんで来年はどういう対策取ろうかというのは反省材料だね」
「今回すごい人が来たんで出店者は大変でした。夜はアヴァロンやヘヴンは閉まるじゃないですか。それからウチの貸し出しの軽自動車で買い出しに出掛けてました。みんな頑張っていましたね」(ティーム社員の小林さん)
「飲食に関しては、供給が不足していたという現実があって主催者も協賛者も来年はないようにしたいと思っている。来年どうするかはレイアウトの見直しもあるね。ヘヴンの奥にはサッカーコートが6面くらいあるんだよ、スケジュール調整が出来ればもっと広く使える」
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