――毎年出店をオファーされるのですか?
「SMASHやビートインクのイベントに参加している中で、参加するのは普通なのか
な、当然なのかなというのが、我々の気持ちの中にあるんですけど。『オファー来な
いけどやるんだよね』みたいなところがあって体鍛えようとか前もって準備したりす
るわけ。フジロックって異質なんだよね。思いがすごく深いんですよ。我々だけじゃ
なくて皆さんもそうだと思うけど。それに対する仕掛けとか、スタッフの気持ちも全
て含めて思いが深いんで必要以上の経費をかけたりするわけ。計算してみたら足が出
てもそれはそれでOK。そういうところがフジロックの七不思議なのかなと思ったりす
るわけ。そんなことは度外視して、それに対して自己満足ぽいところあるけど、『今
年もやったぜ』みたいな。
フジロックって体力使うじゃないですか、気力使うじゃないですか。終わった後、
この歳なんで『あー来年はどうかな』って思うんだけど、1週間経つとまた懐かしく
なる。『あ、ヤバイな来年になんねえかな』って」
――この前の朝霧で初めて黒字になったと聞いたんですが。
「儲かんないですね。はっきり言って。ただね、利益上げようとすれば、上がるんで
す。それは何かって言うとテント一つとテーブルだけだったらOKなんです。でも、そ
うしちゃうと僕なんかお店持っているじゃないですか。ただのテキヤじゃないという
意識が凄くあるんで、クラブはクラブのプライドがあって、知っているお客さんから
『328ってなんか格好悪いな』って思わせたくない。そうすると力入っちゃうのね。
力入った分が『ああ、また予算オーバーしちゃった』って計算はしているんだけど
『まあいいか』みたいな。それはクラブのプライドでもあるし、フジロックに対して
の思いでもあるし、やっぱりフジロックに対して恥かくじゃないですか。『なんか
さぁ、ただ商売すればいいよね』って思われるのは悔しいし。そうじゃないよってい
うところでやりたいわけ。
328だけじゃなくて、大阪のカーマやMIX、MILKみんなそうだと思う。みんなそれぞ
れに、よき仲間でもあり、よきライバルでもあり、というところがある。仲いいの
ね。仲いいんだけど、今年はどういった内装にするかは、最後までお互いシークレッ
ト。それが面白いですよ。現場行って組み立てているのを見て『やられちゃったね、
今年』とか。クラブはクラブの中でのフジロックがある。あいさつして乾杯して『今
年も頑張ろうね』とスタートして、お互い気にして『今年はどう?』『売れてる?』と
か『そうか大変だよね』とか、そんなことを話しています。凄い協調性があるのね。
だけど、協力し合いながらライバル」
――次のフジロックで「こうしよう」とか考えますか?
「終わった時点で考えます。終わった時点で『今年こうだったから、来年はここを修
正しよう』とか考えます。そうですね、(インターネットの)書き込みとかあるじゃ
ないですか。全部が全部気にしなくていいよ、という意見もあるんだけど、なるべく
なら問題ないような形でいきたい。少しでも近づけたい。完璧はないんだけど、でも
少しは近づいた方がいい、という思いがあって、その反省の元に『こうしようか』と
いうのはあります」
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