――店にDJブースを持って来ていますよね。
「天神山ではクラブテントで、それが避難所に変わっていったんですが、ライヴが終
わった後、キャンプサイトでただ寝るのはかわいそうだから、何かテーマがあった方
がいいだろうと話があってDJブースを作って、クラブからDJが参加して、お客さんを
朝まで楽しませようって提案があったわけ。だけど、そのときは、いろいろあって出
来なかった。東京のときはクラブテントの余裕がなかったんですね。3回目になっ
て、各クラブが店を出したときに、クラブはDJありきでクラブなんで、バーじゃない
じゃないですか。各店プレーヤーを持ち寄ってDJをしていた。そのときは各店舗はあ
んまりボリューム上げていなかったと思う。苗場2回目でフジロック参加のアーティ
ストが自分も回してみたいって、ノーギャラで突然乱入して回したりして、そうする
と、こんな小さいスピーカーでショボくてマズいんじゃないかっていう意識になって
いった。少しは良い音でってエスカレートしたのが2001年。これはやりすぎましたね
(笑)。賛否両論あってね。これは行き過ぎなんだよな、って思ったんだけど、ス
トップもかけられない状況で、今回は謝るしかないなっていうところがあった。
それまではトラックの荷台で後ろを開けるとブースだったんだけど、MTVさんと岩
盤さんと328で1コのブースを作って、真ん中に取材もできるようなスペースを作っ
て、向こうにはレッドマーキーのブースがあって『よし、今年はがんばろうね』って
気持ちがバトルみたいになった。参っちゃったなと思ったんだけど、3日間やってか
ら考えましたね。来年は静かにやろうってお互いに話し合いがあった。そしたら日高
さんから『来年は場所を移すから』って話になって、今回みたいなスペースになっ
た。
僕が思うのはスピーカーの向きとどこにブースを作るのかという問題だけだと思
う。あれを囲ってくれれば、音も漏れないし、雨降ってもOKじゃないかな。来年の課
題かなと思うのね。そこに小さなドームがあれば、音も漏れないし、お客さんの避難
所にもなるし、レッド・マーキーにも迷惑をかけないという方法は作れると思う。そ
の予算を考えてやるというのは可能かなと思う。これができれば、また少し進化す
るっていうのがありますね」
――いろんな人がDJブースで回していますよね。
「エイジアン・ダブの人とか回してましたね。タナソウさんは2001年は両方(328と
ライジングサン)で回してましたね。凄い選曲してましたね。『みんな楽しんでく
れー!』みたいな。僕は大好きですね。音楽雑誌のボスじゃないですか。知っている
よね、一杯。だから自分が知っているものをボーンと出すわけね。それはね、勢いあ
るし、スピリットもあるよね。『これをやればみんな楽しいんだな』というのをタナ
ソウさん知ってるのね。頭下がる。同じ曲を回してもスパイスが違うのよ。タナソウ
さんが持っているものなのかもね。僕も好きだし、あそこに集まっている人も好きで
1000人近い人たちが集まってきて面白かったね。
あんまり音が大きすぎてゆっくり休みたい人にはつらい部分があったかも知れない
けど、それは修正しながらやっていけば。今、朝までやるのが多いじゃないですか。
トランスのイベントとか。そういった人たちも来るから、もうちょっと刺激が欲しい
なと思う人もいると思う。そういったスペースを作るのも大事かなと。迷惑がかから
ない形で作っていきたい。僕は55歳なんですけど、ずっと刺激が欲しいわけ。刺激の
ない人生は面白くない」
――朝霧では深夜のクラブエリアの出店でしたが。
「朝霧は最初の天神山に近いです。朝霧を感じると『フジロックの精神がここにあ
る』って絶対分かるんですよ。あそこに行った中で朝霧がつまらないという人は一人
もいない、アーティストも含めて。絶対みんな一回行って体験した方がいい。
2002年は、最初霧がたちこめて、雨が降っていて、水溜まりが出来ていて『う
わー』って思った瞬間に、最初のフジロックみたいだなと思ったの。来るのかなぁと
思ったんだけど、集まって来るんだよね。富士山麓にオアシスがあって、それを求め
て集まってくる。ステージの真横にバーベキューとかやったりね。普通有り得ないん
だけど。渋さ知らズとかアーティストがみんな集まってきて、ジェイソンとかソロモ
ンとかもあそこで飲み会してんの。この人たちは仕事に来てんのか遊びに来てんの
かっていうのがあったけど、あれは仕事です(笑)」
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